2017年7月8日土曜日
#運用に失敗し5兆円もの資産を失ったGPIFのその後
厚生年金保険事業及び国民年金事業の運営の安定に資することを目的として、年金積立金の管理及び運用を行っている独立行政法人です。
丸1年前に「2015年度の損失が約4兆7000億円に上る」との試算をもとに「運用失敗!!」と民進党が大バッシングしてメディアも大きく取り上げていました。
しかしこれ、そんな短期的に一喜一憂するようなものではないのです。民間企業が4兆7000億円もの運用損を出したら吹き飛ぶでしょうが、GPIFは世界最大の年金基金です。繰り返しますが、世界最大です!
そもそも、「運用に失敗して約5兆円も吹き飛ばした」と批判された15年度の前年はどうだったかというと、約15兆円ものプラスです。
そして先日報道されましたが(どのくらい大きなニュースになっているのか自分はわかりませんが)、16年度の運用収益は黒字に転換し収益額は約7兆9000億円。そして、年度末の運用資産額は過去最高の144兆9034億円です。
整理しますとこうです。
・2014年度の収益額は約15兆円
・2014年度末の資産運用額は137兆4769億円(この時点では過去最高)
・2015年度の損失額は約5兆円 ←民進党、メディアが大騒ぎ
・2016年度の収益額は約8兆円
・2016年度末の資産運用額は144兆9034億円(過去最高を更新)
いくら運用額が過去最大といっても、年金受給者がどんどん増えてかつ昔よりも長生きですから、「資金は枯渇するのでは?」と思っている人は少なくないと思います。そして、「将来、年金なんて見込み通りもらえるかわからない。どうせ縮小されちゃうんだろ」と思ってる人も多いと思うのです。
ボクはこれ、ちょっと違うんじゃないかなと思うのです。つまり、「年金は、かなり予定通りに支給されるだろう」ということについて、昔FBに書いたことをもとに改めて書いてみます。
以前、居酒屋で年金の話になりました。相手の方から「キミはずいぶん国を信じてるんだね」と言われ、「国はいろんな手を使って帳尻合わせをすると思う」と答えたんです。増税とかね。そもそも、人口が減って社会保険料収入が減ってるから、すでに<国庫負担率の引き上げ>という手を打っているんです。「現役世代が上の世代を支える」という形(世代間扶養)は破綻してるといえば破綻してる。でも、将来にわたって給付するための仕組み(大量の税金を投入する)は作られてる、という感じですね。
居酒屋での議論の後日、半日かけて調べなおしました。ヒマだったんで。
年金給付の主たる財源は、現役世代の支払う年金保険料です。その現役世代の人口が減って、多勢の年金受給者を支えなきゃならないから、「年金制度は破綻してる」と表現されることがあります。しかし、先に書いたように、現役世代の負担だけで給付を賄うのは無理になってるので、とっくに税金(国庫負担金)が投入されてます。基礎年金給付の2分の1は税金です。※2009年に引き上げられました。
GPIFの積立金を取り崩しながら給付してるわけじゃないんです。年年金の主な財源はあくまでも、<現役世代が払う保険料+税金>です。
株価暴落で22兆円も吹き飛んでしまった公的年金積立金ですが(※16年1月に国会質問に答える形で政府は「年金運用の最大損失額は21兆5000億円」と発表した)、16年1月の資産の時点でさえ、残高はざっくり120兆円くらいでした。この120兆円くらいあるGPIF積立金の中から国民年金や厚生年金の給付にどれくらいを支出しているのかというと、年間約5兆円ある国民年金の給付に回してる(納付金)のは数千億円程度(2013年は1731億円)、約39兆円ある厚生年金の給付に対しては2兆円くらい(同1兆9384億円)です。
国民年金給付への国庫負担率は50%近いですが、厚生年金給付への国庫負担率はまだ21%くらい。
たしかに保険料収入は少くて、年金受給者への給付にまったく足りない。けど、「過去の積立金はすぐに枯渇しないように小出しにしよう。その代わりに、大量の税金を投入しよう」という仕組みを作ってある。ですから、意外と年金は予定通り給付されると思うんです。
その代わりに増税することは間違いありません! どうにもこうにも避けようがない(労働人口が増えれば話は別ですが)。
厚生年金の支給年齢引き上げが決まった(厚生年金保険法が改正された)のは1985年、バブル好景気真っただ中でした。支給開始年齢の引き上げはすでに終わりの段階にあり、これ以上の引き上げをするには法改正が必要です。ですが、法改正をすれば引き上げることができるわけですから、今後、支給開始年齢が引き上げられる可能性は十分ありますけどね。
2017年6月30日金曜日
#統計データの読み方 レジャー白書とは?
「2015年のパチンコ参加人口は1070万人で前年より80万人減少」といった調査結果は、遊技業界内でもよく引用されています。公営ギャンブルはもとより、スポーツ部門、観光行楽部門など様々なレジャーの参加・消費の実態が時系列でまとめられているので、マーケティング部門、経営企画部門の方は必読です。
店長職の方でも、パチンコの参加率や参加人口の推移は、業界誌の記事やコンサルタントの資料で見たことがあると思います。では、「参加率」の定義をご存知でしょうか? これは、「ある余暇活動を、1年間に1回以上行った人の割合」です。調査対象は15歳から79歳の男女です。参加人口は、参加率に15歳から79歳人口(総務省)を掛け合わせて推計します。
本白書によれば、パチンコ参加率は全体で10・6%、男性に限ると16・1%。10代男性では6・1%です。かなり低いと思いませんか?
実はこれ、正確に表現すると「15歳から19歳の参加率」です(パチンコ店に立ち入りできない年齢も分母に含まれている)。
業界人が知りたい「18歳・19歳の参加率」を知るには、6・1%を、<15歳から19歳人口に占める18歳・19歳人口の割合>で割る必要があります。
パチンコ・パチスロの市場規模(遊技料金ベース)は23兆2290億円と推計されていますが、これはアンケート回答を基にした推計ではなく、業界関連企業の発表など各種の資料を基にした推計です。
さて、お気づきになった方もいるかもしれませんが、『レジャー白書』では、市場規模の動向を説明する章では「パチンコ・パチスロ」と表記し、参加動向を説明する章では「パチンコ」と表記しています。なぜかというと、各種レジャーの参加状況を尋ねるアンケート画面では「パチンコ」と書かれているのです。年月を経てパチスロの存在感が大きくなったにもかかわらず、設問(選択肢)を変えてしまうと、過去の調査と比較できなくなるため、ずっと据え置いてきたのだと思います。
もしあなたがパチスロユーザーで、「過去1年間に遊んだことのあるレジャーを選んでください」とたくさんの種目を提示されたとき、「パチンコ」を選ぶでしょうか。「パチンコもパチスロも似たようなものだ」と、パチンコをクリックする方もいるでしょう。しかし、「私はパチンコは遊んでない」とスルーする方もいるはずです。
遊技業界では10・6%、1070万人を、「パチンコ・パチスロの参加率、参加人口」という意味で使っていますが、アンケートで問うているのは「パチンコ」です。
2017年6月25日日曜日
#「遊技参加人口は増加」という調査結果はコンサルの陰謀なのか?
それに対して、「現場の関係者やパチンコ・パチスロの参加者からは、大幅な下落がなかったことに困惑の声が上がっている」そうです。それを根拠のひとつとしながら、「遊技業界ではコンサルが<暗躍>していて、彼らの都合がいいように作られた数字」、「強引なイメージ回復の目的のために作った数字」ではなかという疑問を呈する記事を何度か見かけました。
そういう調査結果が公表された裏事情をレポートするという趣旨の記事でしたが、その理由がまったく貧弱というか、軽い読み物と感じました。
しかし、遊技産業の、特にオペレーター企業の方があの記事を読んで「なるほど!」と思うようでしたら、それは危険だと思います。ちょっと冷静に、マーケティングリサーチ的に、分析的に考えていただきたいと思います。
ある記事の中では、現場の感覚と調査結果のズレ(遊技参加人口が減少したという結果でない)の理由を、上記調査の方が
「低投資の傾向が強くなったことで稼動と収益が下がり、参加人口が減っている印象を受けやすいのではないか」
と説明しています。当方はまったくその通りだと思います。
むしろ、記事の書き手や現場の遊技関係者なる方々が、「参加人口」の定義を理解しているのかという疑問を覚えました。
おさらいしますと、『レジャー白書』も上記の調査も同様ですが、「直近1年間に1回以上参加した人の割合」を参加率として、年代ごと、性ごと、地域ごとに調べます。そしてそれぞれのセル(年代×性×居住エリア)参加率をそのセルの実際の人口と掛けて推計参加人口を算出。それらを足しあげることで日本全体の参加人口を推計しているのです。
ホールの現場が体感している客数はユニークな客数ではないはず。複数回来店者を重複してカウントしないユニークな客数は、よほどの努力をしなければわかりません(そういう努力をしているホールさんもあります)。
ほぼすべてのホールが、日々のある時間の着席人数を集計していますが、「1週間のユニークな客数」「1カ月のユニークな客数」を把握しているホールなどほぼないでしょう。
もし、店長や部長が「ユニークな客数ってどういう意味」と言っていたとしたら(ユニークという言葉の概念を知らなかったら)、そういうKGI設定をしていない、関心がないということでしょう。
ユニークな客数に関心がない、把握していないのに、なぜ、「増えたという調査結果はオカシイ」と感じるのでしょうか? その根拠は何なのでしょうか?
「稼働が落ちているのだから、参加人口が減っているにきまっている」という思い込みではないでしょうか?
思うに...、
ホールが「お客さんは減少している」と感じるのは、来店頻度が落ちているからです。
きっと、1カ月間UUとか1週間UUは減っているでしょう(来店頻度が減っているから)。でも、業界全体で “ 1年間UUはまだ減っていない ” のです。
ちなみに、18歳以上人口は約1億人なので、参加率が0.1%変わると推計人口は10万人変わります。
つまり、「参加人口が17万人増加した」とは、「参加率が前年調査と比べてわずか0.17%ポイント増加した」という結果が出たということです。微差ですね。
参考までにいえば、上記の会社(グローバル・アミューズメント)の調査サンプルは『レジャー白書』よりずっと多いし、調査エリアの割り付けや性年代の割り付けなどもきちんとしています。そして、参加人口微増という調査結果は、業界を代表するシンクタンクであるエンタテインメントビジネス総合研究所の調査結果と同じです。
週刊アミューズメントジャパン(アミューズメントプレスジャパン)は今年1月に実施した調査では、16年の参加人口は15年と同水準(数値的には微減)だったので、「参加人口は減っていない」と解釈した記事を2月に発表しました。
参加人口の定義、参加人口の推計手法を考えると、「17万人増加」という数字が出ても、当方からするとなんら不思議なことではありません。誤差の範囲ということはじゅうぶんにあり得ます。
むしろ、上記3社がそれぞれ独自に異なる市場調査会社のモニターをつかって同様の調査(いずれも『レジャー白書』よりサンプル数は多い)をして、「遊技参加率」を調べた結果が1%くらいのズレしかない。このことのほうがスゴイと思います。
さて、『レジャー白書』は2016年の遊技参加人口についてどういう調査結果を出すでしょう? 楽しみです。
2017年6月11日日曜日
#大都市圏2つ以外のローカルIR誘致戦線
1カ月ほど前に、IR推進会議はIR施設(カジノを含む統合型リゾート)の「要件案」を示しています。これは、いままでのIR必要論をふりかえれば、「ごく当たり前」と思えるものです。
しかし、「コンパクトなローカル型」を模索していた自治体の中には、青写真の見直しを迫られているところもあるようです。
IR推進会議がIR施設への併設を求めるのは、
(1)国際会議場や展示場
(2)劇場や博物館などのレクリエーション施設
(3)国内旅行の窓口
(4)滞在型の観光拠点となるホテル
の4施設。
(3)はIR施設から周辺地域に「送客」する機能です。(4)にあるように作られるホテルは「観光拠点」であり、ここから周辺地域に観光してもらいたいという考えの現れでしょう。
2017年5月30日火曜日
#オンラインカジノが日本に広まったときパチンコ店は?
庶民のギャンブル的娯楽の主戦場は間違いなく、オンラインに移行するな。
その兆しはすでに顕在化していて、JRAの売上に占めるインターネット投票の上の割合の高さ。※昨年JRAを取材したけどいま手元でその数値はわからない。
また、競輪が2014年度から導入した無観客レースは、運営コストの削減だけでなく、「時間の制約」から脱したことが成功の要因だと思う[観客を入場させないから遅い時刻のレースを組める)。大前提は、オンラインできるのかも投票できるインフラがあったこと。
こういうのは市場統計として表に出てきているけど、表に出ないところで大きくなっていると思われるのが、オンラインカジノ。日本からの参加は明確に違法だけど、取り締まりは非常に難しいと思う。
日本だけの問題でなく、世界的にオンラインカジノは成長していると思う。フィリピンPAGCORは昨年、オンラインカジノ運営事業者にライセンス発給を始めたところ、いまオフィス需要がものすごく増えているそうだ。ライセンスを得たオンラインカジノ事業者(Philippine Offshore Gaming Operators)はオフィスを置き、サーバーを置かなければならないから。
ある記事では、フィリピンはではオンラインカジノ事業者によるカジノ売上は年間22億円を見込んでいるといいます。
"In the Philippines, PAGCOR forecast an additional P10 billion in annual revenues from Philippine Offshore Gaming Operators (POGO) licenses."
フィリピンがどうこういうわけではないけど、オンラインカジノはどこかの国でライセンスを得てしまえば、世界中のユーザーを相手にカジノゲームを提供できる。中には、日本からの参加は法律違反なのに、明らかに日本人を対象にした(日本語の充実や営業時間の設定)サービスを提供する事業者もある。
先にも書いたように、オンラインカジノの参加を取り締まるのは非常に難しい。それゆえ、「それならば、国の監視・管理のもとで認めた方がよいのでは」という議論がいつか出てくるでしょう。
メリットは、「過度ののめり込み対策ができる」「反社会的勢力の資金源を断つことにつながる」「課税できる」など言いようはある。
個人的には、日本ではオンラインカジノはあまりに危険な気がします。スマホゲームにこれだけ熱中する国民ですから、はまり込んで社会問題化するのは必至です。
それゆえに、身分証明書と紐付いた会員制にして、全ユーザーの履歴を管理するような仕組みが必要だと思います。
シャットアウトできないなら、管理する方がいい。
ギャンブル的娯楽の主戦場がオンラインに移行したとき、ランドベースであるパチンコ店はどうなっているでしょうか? というより、どうなっていたいという絵(ビジョン)を描いているのでしょうか?



