適材適所で組織のパフォーマンスは上げられます。
能力開発、新たな技能の習得、新たな人材の獲得だって、もちろん有効だし必要です。
でも、現有戦力でも、役割(配置)の見直しだけでも、パフォーマンスは高められます。ただ、会社組織って、野球やサッカーなどのチームスポーツほど、特性に応じた役割の研究がされていないように思います。
先日、前職(マーケティングリサーチ)の上司と久しぶりに会いました。夏前にたまたまの案件が重なり、通常のやりかたでは絶対にこなせない、かといって外注を使って利益率は下げたくない、という状況だったそうです。
で、元上司は通常は1人のリサーチャーが一気通貫して行っている作業(設計~実査~分析~レポート作成)を分割して、分業させたのです。徹底して「誰に担当させたらトータルで短時間で仕上げられるか」を考えたのです。
結果的に、年次が上のベテランに地味で裏方的な部分を担ってもらい(機械的な作業が誰よりも速い)、一見華やかなレポート作成やプレゼンを若手に担ってもらいました(表現力が豊か)。
もちろん、「非常事態だから特別に、こういう分業体制で臨んで乗り切りたい」と状況を説明して。
分業にはデメリットもあるのです。
第一に、上流工程の、クライアントの課題抽出~リサーチの設計を担当した人間が、そのリサーチプロジェクトをもっとも理解しているわけです。すべてのプロセスが重要なので、もっとも理解しているリサーチャーが通してやったほうが、品質はよい(と期待できる)。
第二に、あまり細かく分業してしまうと、その部分の「作業」になりがちで、工程すべてを見通す視点がなくなりがちで、育成という観点からよろしくない。
でも、通常のシフトではできないことを、この「適材適所」シフトで乗り切ったわけです。
この会社では、「ひとつの案件はひとりで担当させる」という方針に近いですが、実は、通常から細かな分業を行っているリサーチ会社もあります。テーマや調査手法によって、得意不得意がでてきますから、ある程度の経験を越えたら、得意な領域に特化していくのもよくあることです。
本人がそれを極めたいと思えば、そこに特化していける。逆に、幅広く携わりたいと思えば、そういう選択もできるのが理想ですね。
本人にとってもっとも苦痛なのが、他に特性を発揮できることがあるにもかかわらず、意思に反してそうではない仕事に配置されることでしょう。それでは単なる労働力です。
【追記】
あ、そうそう。結構重要なこと2点。
(1)このチームには、こういう「得意領域を集中して担当してもらう」という分業ができるだけの、人材の多様性があった。
(2)この元上司が、各人の「得意領域」をちゃんと把握していた。
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