す毎年恒例の『レジャー白書』の発表が近づいています。『レジャー白書』は1977年から続く、国民のレジャー活動の参加状況や市場規模を調査・分析するレポートで、現在は公益財団法人日本生産性本部から出版されています。
「2015年のパチンコ参加人口は1070万人で前年より80万人減少」といった調査結果は、遊技業界内でもよく引用されています。公営ギャンブルはもとより、スポーツ部門、観光行楽部門など様々なレジャーの参加・消費の実態が時系列でまとめられているので、マーケティング部門、経営企画部門の方は必読です。
店長職の方でも、パチンコの参加率や参加人口の推移は、業界誌の記事やコンサルタントの資料で見たことがあると思います。では、「参加率」の定義をご存知でしょうか? これは、「ある余暇活動を、1年間に1回以上行った人の割合」です。調査対象は15歳から79歳の男女です。参加人口は、参加率に15歳から79歳人口(総務省)を掛け合わせて推計します。
本白書によれば、パチンコ参加率は全体で10・6%、男性に限ると16・1%。10代男性では6・1%です。かなり低いと思いませんか?
実はこれ、正確に表現すると「15歳から19歳の参加率」です(パチンコ店に立ち入りできない年齢も分母に含まれている)。
業界人が知りたい「18歳・19歳の参加率」を知るには、6・1%を、<15歳から19歳人口に占める18歳・19歳人口の割合>で割る必要があります。
パチンコ・パチスロの市場規模(遊技料金ベース)は23兆2290億円と推計されていますが、これはアンケート回答を基にした推計ではなく、業界関連企業の発表など各種の資料を基にした推計です。
さて、お気づきになった方もいるかもしれませんが、『レジャー白書』では、市場規模の動向を説明する章では「パチンコ・パチスロ」と表記し、参加動向を説明する章では「パチンコ」と表記しています。なぜかというと、各種レジャーの参加状況を尋ねるアンケート画面では「パチンコ」と書かれているのです。年月を経てパチスロの存在感が大きくなったにもかかわらず、設問(選択肢)を変えてしまうと、過去の調査と比較できなくなるため、ずっと据え置いてきたのだと思います。
もしあなたがパチスロユーザーで、「過去1年間に遊んだことのあるレジャーを選んでください」とたくさんの種目を提示されたとき、「パチンコ」を選ぶでしょうか。「パチンコもパチスロも似たようなものだ」と、パチンコをクリックする方もいるでしょう。しかし、「私はパチンコは遊んでない」とスルーする方もいるはずです。
遊技業界では10・6%、1070万人を、「パチンコ・パチスロの参加率、参加人口」という意味で使っていますが、アンケートで問うているのは「パチンコ」です。
2017年6月30日金曜日
2017年6月25日日曜日
#「遊技参加人口は増加」という調査結果はコンサルの陰謀なのか?
ある会社が発表した遊技業界動向の調査結果では、2016年の遊技参加人口は前年より増加していたそうです。
それに対して、「現場の関係者やパチンコ・パチスロの参加者からは、大幅な下落がなかったことに困惑の声が上がっている」そうです。それを根拠のひとつとしながら、「遊技業界ではコンサルが<暗躍>していて、彼らの都合がいいように作られた数字」、「強引なイメージ回復の目的のために作った数字」ではなかという疑問を呈する記事を何度か見かけました。
そういう調査結果が公表された裏事情をレポートするという趣旨の記事でしたが、その理由がまったく貧弱というか、軽い読み物と感じました。
しかし、遊技産業の、特にオペレーター企業の方があの記事を読んで「なるほど!」と思うようでしたら、それは危険だと思います。ちょっと冷静に、マーケティングリサーチ的に、分析的に考えていただきたいと思います。
ある記事の中では、現場の感覚と調査結果のズレ(遊技参加人口が減少したという結果でない)の理由を、上記調査の方が
「低投資の傾向が強くなったことで稼動と収益が下がり、参加人口が減っている印象を受けやすいのではないか」
と説明しています。当方はまったくその通りだと思います。
むしろ、記事の書き手や現場の遊技関係者なる方々が、「参加人口」の定義を理解しているのかという疑問を覚えました。
おさらいしますと、『レジャー白書』も上記の調査も同様ですが、「直近1年間に1回以上参加した人の割合」を参加率として、年代ごと、性ごと、地域ごとに調べます。そしてそれぞれのセル(年代×性×居住エリア)参加率をそのセルの実際の人口と掛けて推計参加人口を算出。それらを足しあげることで日本全体の参加人口を推計しているのです。
ホールの現場が体感している客数はユニークな客数ではないはず。複数回来店者を重複してカウントしないユニークな客数は、よほどの努力をしなければわかりません(そういう努力をしているホールさんもあります)。
ほぼすべてのホールが、日々のある時間の着席人数を集計していますが、「1週間のユニークな客数」「1カ月のユニークな客数」を把握しているホールなどほぼないでしょう。
もし、店長や部長が「ユニークな客数ってどういう意味」と言っていたとしたら(ユニークという言葉の概念を知らなかったら)、そういうKGI設定をしていない、関心がないということでしょう。
ユニークな客数に関心がない、把握していないのに、なぜ、「増えたという調査結果はオカシイ」と感じるのでしょうか? その根拠は何なのでしょうか?
「稼働が落ちているのだから、参加人口が減っているにきまっている」という思い込みではないでしょうか?
思うに...、
ホールが「お客さんは減少している」と感じるのは、来店頻度が落ちているからです。
きっと、1カ月間UUとか1週間UUは減っているでしょう(来店頻度が減っているから)。でも、業界全体で “ 1年間UUはまだ減っていない ” のです。
ちなみに、18歳以上人口は約1億人なので、参加率が0.1%変わると推計人口は10万人変わります。
つまり、「参加人口が17万人増加した」とは、「参加率が前年調査と比べてわずか0.17%ポイント増加した」という結果が出たということです。微差ですね。
参考までにいえば、上記の会社(グローバル・アミューズメント)の調査サンプルは『レジャー白書』よりずっと多いし、調査エリアの割り付けや性年代の割り付けなどもきちんとしています。そして、参加人口微増という調査結果は、業界を代表するシンクタンクであるエンタテインメントビジネス総合研究所の調査結果と同じです。
週刊アミューズメントジャパン(アミューズメントプレスジャパン)は今年1月に実施した調査では、16年の参加人口は15年と同水準(数値的には微減)だったので、「参加人口は減っていない」と解釈した記事を2月に発表しました。
参加人口の定義、参加人口の推計手法を考えると、「17万人増加」という数字が出ても、当方からするとなんら不思議なことではありません。誤差の範囲ということはじゅうぶんにあり得ます。
むしろ、上記3社がそれぞれ独自に異なる市場調査会社のモニターをつかって同様の調査(いずれも『レジャー白書』よりサンプル数は多い)をして、「遊技参加率」を調べた結果が1%くらいのズレしかない。このことのほうがスゴイと思います。
さて、『レジャー白書』は2016年の遊技参加人口についてどういう調査結果を出すでしょう? 楽しみです。
それに対して、「現場の関係者やパチンコ・パチスロの参加者からは、大幅な下落がなかったことに困惑の声が上がっている」そうです。それを根拠のひとつとしながら、「遊技業界ではコンサルが<暗躍>していて、彼らの都合がいいように作られた数字」、「強引なイメージ回復の目的のために作った数字」ではなかという疑問を呈する記事を何度か見かけました。
そういう調査結果が公表された裏事情をレポートするという趣旨の記事でしたが、その理由がまったく貧弱というか、軽い読み物と感じました。
しかし、遊技産業の、特にオペレーター企業の方があの記事を読んで「なるほど!」と思うようでしたら、それは危険だと思います。ちょっと冷静に、マーケティングリサーチ的に、分析的に考えていただきたいと思います。
ある記事の中では、現場の感覚と調査結果のズレ(遊技参加人口が減少したという結果でない)の理由を、上記調査の方が
「低投資の傾向が強くなったことで稼動と収益が下がり、参加人口が減っている印象を受けやすいのではないか」
と説明しています。当方はまったくその通りだと思います。
むしろ、記事の書き手や現場の遊技関係者なる方々が、「参加人口」の定義を理解しているのかという疑問を覚えました。
参加人口とは「1年間のUU」のこと!
おさらいしますと、『レジャー白書』も上記の調査も同様ですが、「直近1年間に1回以上参加した人の割合」を参加率として、年代ごと、性ごと、地域ごとに調べます。そしてそれぞれのセル(年代×性×居住エリア)参加率をそのセルの実際の人口と掛けて推計参加人口を算出。それらを足しあげることで日本全体の参加人口を推計しているのです。
ホールの現場が体感している客数はユニークな客数ではないはず。複数回来店者を重複してカウントしないユニークな客数は、よほどの努力をしなければわかりません(そういう努力をしているホールさんもあります)。
ほぼすべてのホールが、日々のある時間の着席人数を集計していますが、「1週間のユニークな客数」「1カ月のユニークな客数」を把握しているホールなどほぼないでしょう。
もし、店長や部長が「ユニークな客数ってどういう意味」と言っていたとしたら(ユニークという言葉の概念を知らなかったら)、そういうKGI設定をしていない、関心がないということでしょう。
ユニークな客数に関心がない、把握していないのに、なぜ、「増えたという調査結果はオカシイ」と感じるのでしょうか? その根拠は何なのでしょうか?
「稼働が落ちているのだから、参加人口が減っているにきまっている」という思い込みではないでしょうか?
思うに...、
ホールが「お客さんは減少している」と感じるのは、来店頻度が落ちているからです。
きっと、1カ月間UUとか1週間UUは減っているでしょう(来店頻度が減っているから)。でも、業界全体で “ 1年間UUはまだ減っていない ” のです。
ちなみに、18歳以上人口は約1億人なので、参加率が0.1%変わると推計人口は10万人変わります。
つまり、「参加人口が17万人増加した」とは、「参加率が前年調査と比べてわずか0.17%ポイント増加した」という結果が出たということです。微差ですね。
参考までにいえば、上記の会社(グローバル・アミューズメント)の調査サンプルは『レジャー白書』よりずっと多いし、調査エリアの割り付けや性年代の割り付けなどもきちんとしています。そして、参加人口微増という調査結果は、業界を代表するシンクタンクであるエンタテインメントビジネス総合研究所の調査結果と同じです。
週刊アミューズメントジャパン(アミューズメントプレスジャパン)は今年1月に実施した調査では、16年の参加人口は15年と同水準(数値的には微減)だったので、「参加人口は減っていない」と解釈した記事を2月に発表しました。
参加人口の定義、参加人口の推計手法を考えると、「17万人増加」という数字が出ても、当方からするとなんら不思議なことではありません。誤差の範囲ということはじゅうぶんにあり得ます。
むしろ、上記3社がそれぞれ独自に異なる市場調査会社のモニターをつかって同様の調査(いずれも『レジャー白書』よりサンプル数は多い)をして、「遊技参加率」を調べた結果が1%くらいのズレしかない。このことのほうがスゴイと思います。
さて、『レジャー白書』は2016年の遊技参加人口についてどういう調査結果を出すでしょう? 楽しみです。
2017年6月11日日曜日
#大都市圏2つ以外のローカルIR誘致戦線
1カ月ほど前に、IR推進会議はIR施設(カジノを含む統合型リゾート)の「要件案」を示しています。これは、いままでのIR必要論をふりかえれば、「ごく当たり前」と思えるものです。
しかし、「コンパクトなローカル型」を模索していた自治体の中には、青写真の見直しを迫られているところもあるようです。
IR推進会議がIR施設への併設を求めるのは、
(1)国際会議場や展示場
(2)劇場や博物館などのレクリエーション施設
(3)国内旅行の窓口
(4)滞在型の観光拠点となるホテル
の4施設。
(3)はIR施設から周辺地域に「送客」する機能です。(4)にあるように作られるホテルは「観光拠点」であり、ここから周辺地域に観光してもらいたいという考えの現れでしょう。
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