2020年5月17日日曜日

COVID-19 若年層ほど自粛疲れ 男性若年層は関心度も低下

クロス・マーケティンググループが継続的に実施している「新型コロナウイルス生活影響度調査」からは、外出自粛によって余暇の過ごし方がどう変化したかや、時間の経緯とともに関心度や不安度がどう変化しているか等がわかる。対象は全国の男女20代~60代で、各セルを均等に500サンプルずつ割り付けた合計2,500サンプル。

4月24日~26日に実施された第4回調査によると、直近の1週間で不安を抱いている人は71.4%で、10日前に実施した前回調査より微減。これは直近1週間の不安度を「非常に不安」から「全く不安はない」まで7段階で尋ね、「不安」の回答(TOP3BOX)を合計した値。
直近1週間の不安度を性別で比較すると、男性が63.5%であるのに対して女性は79.2%と大きく上回った。性・年代別に比較すると、男性・女性いずれも年代が高いほど不安度が大きい傾向が見られる。
前回調査(4月13日~14日)から不安度の減少が目立ったのは、男性30代と男性60代。TOP3BOXのスコアでは男性30代は11.6ポイント減少、男性60代のスコアは10.0ポイント減少した。
関心度も前回調査(4月13日~14日)から減少している。関心度の減少が特に大きいのは男性30代と男性20代。TOP3BOXのスコアでは男性30代では前回調査より10.8ポイント減少、男性20代では同9.2ポイント減少した。

余暇の過ごし方として16項目を提示して、それぞれ新型コロナウイルスが流行する前と比べた増減を尋ねたところ、「増えた」の回答が最も多かったのは「テレビを観る」で50.4%。次いで「動画共有サービスを観る(You Tube、Tik Tokなど)」で32.5%、「SNS(Twitter、Facebookなど)をする」で23.4%。なお、子供と同居している人ベースでは「同居している子供との会話、触れ合い」は38.0%、夫婦・パートナーと同居している人ベースでは「同居している夫婦・パートナーとの会話」は29.2%だった。
若年層の男性に着目すると、20代男性では「テレビを観る」「動画共有サービスを観る(You Tube、Tik Tokなど)」が50.4%で最も多い。次いで「SNS(Twitter、Facebookなど)をする」で40.0%。30代男性では「テレビを観る」が最も多く42.0%。次いで「動画共有サービスを観る(You Tube、Tik Tokなど)」で37.6%、「ゲームをする」で28.8%。

■余暇の過ごし方に関する増減変化:以前より増えたもの

出所:株式会社クロス・マーケティング マーケティング部 新型コロナウイルス生活影響度調査(第3回・第4回)

4月13日~14日実施の調査(第3回調査)の時点で、すでに半数近い人が自粛疲れを感じている。「外出を自粛することについて疲れている」かどうかつについて、「とてもあてはまる」から「全くあてはまらない」の7段階で尋ね、「あてはまる」の回答を合計した(TOP3BOX)値は全体で45.1%。自粛に疲れている人は男性よりも女性のほうが多く、年配層より若年層の方が多い。TOP3BOXのスコアを性・年代で比較すると、男性60代が38.8%であるのに対して、男性20代では45.2%、男性30代では44.8%。

出所:株式会社クロス・マーケティング マーケティング部 新型コロナウイルス生活影響度調査(第3回・第4回)

つまり男性の若年層は、新型コロナウィルスへの不安度が相対的に低く、関心度が低下してきており、なおかつ自粛することに疲れている。自粛に疲れている人の割合はどの年代も男性より女性の方が高いが、女性は関心度も不安も男性よりも高い。
これらのことから、男性の若年層は、外出自粛が解除されたときに最も早く外出し、かつての生活に近い消費行動をとると考えられる。


出所:株式会社クロス・マーケティング マーケティング部 新型コロナウイルス生活影響度調査(第3回・第4回)

2020年5月12日火曜日

COVID-19は消費者にどのような影響を与えている?

「なるほど、やっぱり」という消費者調査の結果があります。
ブランド総合研究所(東京都港区) とアイブリッジ(大阪府大阪市)は、全国の20歳~89歳の男女インターネットモニター(学生を除く)を対象に、新型コロナウイルスの影響などについての調査を実施し、結果を公表しています。有効回答は約1万9千、調査期間は4月25日~27日。
サンプリングについては、実際の地域の人口比よりも関東が少なめ、年代は20代がやや多めで60代以上がが少なめ。男女はほぼ半々、既婚未婚はほぼ半数。ですので、「回答者全体」ではなく、年代別などブレイクダウンして層による差異に着目してみました。

結論から言うと、新型コロナウイルス感染拡大が収束し自粛が解除された後の消費の戻り方(事業者から見たらお客様の戻り方)は均質ではなく、「若年層」「男性」が早期に戻る。

もちろん、Withコロナの状況で消費行動は変わり、多くの人の中に「人混みを避けたい」という気持ちが残るでしょう。
でも、STAY at HOMEしながらも、内心では「そんなに神経質にならなくても大丈夫じゃない?」と思っている人も一定数いるはずです。それは、女性よりも男性に多く、年配層よりも若年層に多いはずです。

根拠は、「日ごろから実施している新型コロナウイルス感染防止として実施していること」を尋ねた設問(18の項目を提示して複数回答)。
いずれの年代も、最も多かった項目は「外出の際は、必ずマスクを着用している」ですが、60代以上での回答者率が72.3%であるのに対して、20代は20ポイントも少ない51.1%。
2番目に多かった項目は、いずれの年代も「手洗いや消毒を頻繁に行っている」。60代以上では68.5%であるのに対して、20代では20ポイント以上少ない44.3%。
人との距離を空ける(いわゆるソーシャルディスタンス)ことを意識している人の割合も、20代は60代より20ポイント近く低い結果です。
そしていま挙げた3項目とも、男性は女性より10ポイント以上低いのです。


接客業に就いていてお客様の安全を守ろうと気を配っている方々は、20代・30代だろうと男性だろうと、「マスク着用」や「手洗い消毒」をかなり意識して行っていると思います。でも、そういう職業でない場合、感染防止対策を行っていない人はかなり多いのでしょう。COVID-19が収束したら、いち早く遊びに繰り出します。

若者向けの街、施設ほど早く活気を取り戻す。
客層が幅広かったお店では、20代~30代の男性客が早く戻ってくる。それを念頭に入れた商品ラインナップが必要でしょう。
また、集客のための訴求ポイントもセグメントによって異なってきます。STAY at HOMEによって娯楽に飢えている20代~30代男性にとっては「このくらい消毒を徹底しています」というアピールよりも、「心おきなく○○できる」の方が刺さるでしょう。「衛生面の安全」を徹底していることを強くアピールしなければならない相手は、女性と年配層です。

2020年5月6日水曜日

パチンコ業界の広報は十分だったのか

アメリカのカジノ産業(※)が創出してる雇用は180万人、経済波及効果は2610億ドル、納税額は410億ドル(約4兆1000億円)──。


政府の緊急事態宣言が出された後も営業を続けている店舗があるとして、パチンコが激しく非難されているけど、100%いや95%以上休業していることが確認されている業態はあるのだろうか? 飲食業界に対するバッシングは起こっていないようだけど、20時以降も営業している飲食店はゼロなのだろうか?

パチンコ業界もカジノ業界のように、「雇用○万人」「経済効果○兆円」「納税○億円」と掲げて、「我々には存在意義がある!」「大きな納税貢献をしている」って感じの広報をしてきたら、世間からのバッシングはもう少し小さいもになっていたのではないかと思う(カジノ業界だってそれぞれの国で批判はある)。
いまなお20兆円産業であり90%以上の組合加盟店率を誇る業界団体があるにもかかわらず、残念ながらパチンコ業界について正確な統計が集められていないし、世間に向けた正しい情報発信・広報活動も目につかない。また、ゲーミング税がないため、上記のような納税額のアピールができない。

「パチンコ税を課せばよいではないか」と考える人もいると思うが、それが適切なのかという疑問もある。
世間の多くの人は混同していると思うけど、カジノや公営ギャンブルが「本来は刑法上は違反だけど特別に許可している」というものであるのに対して、パチンコ事業はそもそも違法ではない(当然、刑法や風営法に違反すれば取り締まりの対象となる)。法律上、パチンコは賭博ではあるけど、“一時の娯楽に供する物を賭かけたにとどまる” ため、刑法違反の範疇には入っていない。風適法で許可された事業であり、風適法を守ってる限り違法ではない。
このようなそもそも違法でない娯楽事業に対して一方的に特別な税を課すのは無理があるというか、理由がないように思う。


ちなみに、パチンコホール業界(全日遊連、各都府県方面遊協、各支部組合、各パチンコホール)が2017年1月から12月までに行った社会還元拠出の総額は14億1202万2421円(1万1383件)。「20兆円産業」と呼ばれる業界が社会貢献として、総売上高の0.007%(粗利の0.04%)を拠出していることを、世間はどれだけ評価してくれるだろうか? 声を大にして言ったほうがよい額なのだろうか?

注:ここでいう「カジノ産業」とは、ゲーミング売り上げだけでなくカジノ施設が有するF&B施設や宿泊施設、調達先や外注先事業者を含む。総雇用者数や経済波及効果も同様に、カジノ産業を非常に広く定義した数値。