2015年11月25日水曜日

#勘に頼らずに科学的な根拠で決断を下す

少し前にダイヤモンドオンラインで「トヨタと日産、強さの秘密は社員の“ある特性”」という記事を見ました。

これは非常に興味深い内容でした。

ハーバードビジネススクールのフォレスト・ラインハート教授は、トヨタと日産の社員へのインタビューを通じて、「社員は勘や感覚で物事を判断しない傾向がある」と感じ、こうした企業文化が強さの源泉になっていると推測しています。

「とても印象的だったのが、社員が皆、非常に“分析的”であったということです。何を質問しても、客観的な事実やデータに基づいて話をしてくれました。勘に頼らずに科学的な根拠で決断を下すように訓練されていること。それが日本の自動車メーカーが成功している秘訣ではないかと思います」

両社は、市場(消費者)の分析も製造プロセスの分析も、みっちりやってる感ありますからね。そういうデータを活用するよう、社員はトレーニングしているのかもしれません。もしくは、そういう社員しか要職に上がれないのかもしれません。

さて、アミューズメント業界はどうでしょう?

「娯楽業と製造業は違う」という意見もあるでしょう。しかし、そんなに違いはないかもしれません。

「高性能なものを作れば売れた」という時代はとうに終わっています。いまやモノづくりは、どれたけユーザーの「心」を満たすことができるか?がテーマです。「旅行を一回我慢して、新たに買うクルマのグレードを上げる」というように、製造業とレジャーの競合は起こってます。

視野を広げれば、レジャー業界の周辺には、世界と戦っている強豪がうようよいるんですよね。

〔参照〕
http://diamond.jp/articles/-/81518?display=b

2015年11月6日金曜日

#ヒントは現場にある


リーダーシップ コンサルティング代表の岩田松雄さん(元スターバックスコーヒージャパン代表取締役最高経営責任者)にお話を伺いました。

正確に言えば、自分はカメラマンとして同席したのですが。

印象的だったのは、
「大抵の経営者は素晴らしいミッションを持っている。それが現場に浸透していないことが問題。明文化し浸透させ、それを体現している社員を評価することで会社は良くなる」
というお話。

もう一つ、印象深かったのは、低迷している会社・店舗を立て直さねばならないという状況でリーダーがすべきことのなかで触れられた、「低迷の原因も、その解決のヒントも現場(社内)にある」というお話。岩田さんが何を、どのように行ったのか、聞かせていただきました。

インタビュアーのあまりにも漠然とした質問に、根気強く、誠実に答えてくださいました。

#住宅ローンの返済期間はできるだけ長く?

WEBでたまたま見かけたあるFP(ファイナンシャル・プランナー)の提案に驚いた。

「繰上返済するな。借りるだけ借りて返済期間はできるだけ長くせよ。繰上返済したり月々の返済額を増やすお金の余裕があったら、資産運用に回すべき」というのです。
住宅ローンの借入期間を短くすれば総返済額は少なくなる。ただし、そこにお金を投じていては資産を増やすことはできない、というのがその先生の主張。

この考えに基づいて、頭金300万円からのマイホーム購入をサポートしているそうです。
ずいぶんと刺激的です。正直なところ、「バカなこと言ってんじゃないよ(笑)」というのが第一印象。

たしかに、考えようによっては住宅ローンの借入金利というのは非常に低い。けれど、普通の個人にとっては額が大きいし返済期間が長いので、結果的に払わなければならない金利が大きくなる。ざっくりいうと、3000万円借りて総返済額は4000万円といった感じ。

先生の理屈は、例えば月10万円返済できるなら、7.3万円を返済に、2.7万円を資産運用に充てる。この月々2.7万円を積み立てていき複利で運用すると、30年後にはすごい額になって、返済金利の分を上回る。よって資産は増えていますよ、と。繰上返済して総返済額を減らすより増えるんですよ、と。

具体例を示しましょう。
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2000万円を固定金利1.835%で借りるとします。
【プランA返済期間30年・元利均等払いで毎月の返済額は7.3万円、総返済額は2,603万円。
【プランB返済期間20年・元利均等払いで毎月の返済額は10万円、総返済額は2,391万円。
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もしも毎月10万円を返済できるのであれば、それで10万円の返済をしないで、返済期間が長く毎月の返済額が少ないプランAを選べ。そして差額の2.7万円を積み立てて運用して資産を増やせ、ということ。

馬鹿馬鹿しいと思いながら、計算してみました。すると、改めて「複利」のパワーに驚きました。「ローン返済額は少なめにして、早いうちから運用を始める」というのは、理屈の上ではアリかもしれません。そういう視点があることを知っておくのはいい。

しかし…。これには大きなハードルがあります。先生はコラムの中で、「借入金利が1.7%であっても、月々の返済額を抑えて、余力のお金を年利3%で複利運用すれば〜と」と書いています。そう、30年にもわたるローン返済期間中、借入金利を上回る金利で運用し積み立てし続けるということが前提。

「頭金は300万円しかないけどマイホームがほしい」という方に、これから30年間にわたって毎月(もしくは毎年)一定額の積み立てを続け、リスクをとって年利3%の複利運用をしなさい、と。

上記のプランAの場合、30年間に支払う金利は約600万円ですが、毎年32.4万円(毎月2.7万円の12カ月分)の積立を年利2%の複利運用ができると30年後の運用益が約600万円になります。毎月2.7万円の積立なら1.92%の複利運用でほぼ同等の運用益を出せます。つまり、年利2%より高いパフォーマンスで運用できれば、「住宅ローンはのんびり返せ」のほうが、30年後の資産額は大きくなるということです。

「無理言ってんじゃねーよ」
って気もしますが、
自信がある方は、どうぞ(笑)。

〔参考〕こつこつ積み立てて複利運用するとどうなるか計算してみました。
[KEY/マネー、ライププラン、住宅購入

2015年11月3日火曜日

#接客で重要なのはスピード感!

少し前に、あるパチンコホール企業の方から、相談が寄せられました。
社内研修の一環で「接客の向上は必要か不要か」をテーマに、ディベート大会」が行われることになっていて、その方は肯定側(接客向上は必要)チームで、論理構成をするために助言がほしいというのです。

その会社のホールスタッフのレベルは業界の平均的な水準を超えています。そんなこともあり、「これ以上の接客レベルの向上は必要」という肯定側は、このディベートにおいては不利な状況だというのです。

社内ディベート大会、とてもユニークな取り組みだと感心しつつ、思いついたいくつかのデータをお送りするとともに、ハーズバーグの「動機づけ要因-衛生要因理論」もご紹介させていただきました。

ディベートがどんな結果になったのかは、守秘義務の関係上、ここには書きません(笑)。

さて、「パチンコ・パチスロファンの接客に対する意識」を調査したデータには、こんなものもあります。以前、アミューズメントジャパンで記事にするために実施したもので、調査は18歳~59歳の男性パチンコ・パチスロプレイヤー104人にから回答を得たものです。

記事を探すのは手間だったので、 元の調査データから、ささっと集計しなおしました。

結論めいたことを先に書きますと、以下の通りです。

「接客態度がいい」とは何か?
それは、
スピードがあり、礼儀正しく&丁寧であること。


[実施概要]マクロミルのインターネット・アンケートモニターからパチンコ・パチスロプレイヤーを抽出し、パチンコのみプレイヤー50人、パチスロのみプレイヤー20人、PS両方プレイヤー30人を割り付けて2011年1月に調査を実施。有効回答数それぞれ52人、21人、31人。

この調査では、「パチンコホール・スタッフの接客態度・サービスとして、あなたが望むものを3つまでお選びください」という質問をしています。提示した選択肢は下記の12。

1 元気である
2 そっとしておいてくれる
3 楽しそうに働いている
4 一生懸命働いている
5 会話や雑談に応じてくれる
6 礼儀正しく丁寧である
7 正確である
8 気さくな感じでフレンドリー
9 ホテルのような高級感がある
10 スピード感がある
11 その他
12 とくにない

これに続いて、「あなたはホールスタッフとコミュニケーション(会話など)を取りたいですか?」と尋ね、「とりたい~その時々~とりたくない」の5段階スケールから回答してしもらいました。

コミュニケーションの意向に対する回答者の割合は以下の通り。
◇「とりたい」+「どちらかというと~」……21.1%
◇「その時々」………………………………45.2%
◇「とりたくない」+「どちらかというと~」……33.6%

各グループの意向の違いをレーダーチャートで表してみます〔下図〕。


この2つの質問をクロスさせ、上記それぞれのグループが、ホールのスタッフに対してどのような接客態度・サービスを望んでいるのかを分析してみました。

すると、下記の項目が上位になりました。

「コミュニケーションをとりたい」+「どちらかというと~」グループが望む接客態度は、
(1)元気である
(2)礼儀正しく丁寧である
(3)スピード感がある

「その時々」グループが望む接客態度は、
(1)礼儀正しく丁寧である
(2)スピード感がある
(3)一生懸命働いている

「コミュニケーションをとりたくない」+「どちらかというと~」グループが望む接客態度は、
(1)スピード感がある   
(2)礼儀正しく丁寧である   
(3)一生懸命働いている

いずれのグループも共通して「礼儀正しさ」「スピード感」を求める割合が高い。
一方で、「ホテルのような高級感」や「気さくな感じでフレンドリー」はほとんど求めていない。
コミュニケーション意向のあるプレイヤーにおいても、「気さくな感じでフレンドリー」「会話や雑談に応じてくれる」の回答率は低く、「そっとしておいてくれる」の回答率のほうが高い。

これらのことから考えるべきは、プレイヤーの考えている「コミュニケーション」とは何かということ。

コミュニケーションとは、意思疎通のことです。来店客が求めているのは、「自分の意志を伝えたい、自分の意志を受け止めてもらいたい」ということなのではないか。そうだとしたら、その要望に応えるには、積極的なお店都合の声掛けよりも、お客の<意思を伝えたいというそぶり>に気づく力を向上させることが重要だと言えそうです。

文=田中 剛(アミューズメントジャパン元編集長)

2015年11月1日日曜日

#時間やお金の行き先

ハーバード・ビジネススクールのクリステンセン教授は、「あなたが望みどおりの人生を送れるか、意図したものとはかけ離れた人生を送るかは、自分の資源をどのように配分するかによってきまる」といいます。

そして、ハーバード・ビジネススクールの、一部の同級生のその後の人生について、こんなことを書いています。

「同級生たちは昇進や昇給、ボーナスなどの見返りがいますぐ得られるものを優先し、長い間手をかける必要があるもの、何十年も経たないと見返りが得られないものをおろそかにした」

「知らず知らずのうちに中身のない不幸な人生を築いていった同級生たちは、資源を配分する方法が間違っていたからこそ、苦境に陥ったのだと思わざるをえない」

資源とは我々が持つ、時間、労力、能力、財力のこと。

だから、自分が心から実行したいと考えている人生の戦略を、実際に実行しているかどうかを確かめるには、これら「資源」が何に費やされているかに目を配る必要があります。

我々は、はっきりと目に見える成果がすぐに得られるような活動に、自分の資源を注ぎ込んでしまいがちですから。