2018年12月19日水曜日

日本にカジノができたら遊びに行く人はどのくらいいる?

興味深い記事です。

" 国内にカジノができたら遊びに行くか――そんな問いに対して、半数以上が「遊びに行かない」と回答。一方で「カジノに遊びに行く」と回答した人は14.7%のみという結果 "(元記事から抜粋)

記事を書いたDANRO編集部は「半数以上が行かない」ということを強調したかったのだと思いますが、ギャンブル系アミューズメントやカジノを取材フィールドにしている当方にとって、この「14.7%」というのは、結構大勢いるもんだな!という数字です。

日本のギャンブル系大衆娯楽の王様である「宝くじ」ですが、過去12カ月の間に、宝くじ売場やコンビニなどの店頭で買ったことがある人(参加者)は約22%です。全国津々浦々にあるパチンコ・パチスロの参加者率は10%程度に過ぎません。

さらに、
" 「海外旅行先のカジノで遊んだ経験はありますか?」という質問の回答に対しては、「遊んだことがある」が62.7% "(元記事から抜粋)
という記述にも、そんなに大勢の人がカジノで遊んだ経験あるのか!と驚きました。



しかし、冷静に考えると、アンケートの回答者は総合旅行サイトの会員です。アクティブかつ消費意欲が高め(旅行はかなりお金がかかるレジャーです)な人々へのアンケートである点に注意が必要です。

そして、62.7%というカジノ経験者率は、あくまでも「生涯で」の経験を問うたもの。アンケート対象は10代~70代ですので、「大昔、新婚旅行で済州島にいって、ホテルの中のカジノでちょっと遊んだ」なんて方も含まれています。

当方も一昨年、4000人規模の全国調査(ちゃんと人口動態に比例するようサンプル割り付けをした)を行って、「日本国内のあなたの生活圏から2時間圏内に合法的なカジノができたら」と参加意向を調べましたが、全体平均では、参加意向者率はもっと低かったです。

つまり、旅行好きの人は、国内にカジノができたとき遊びに行く可能性が高い(トライアルであれ何であれ)ということかもしれません。消費力が高めでしょうし、旅という非日常をレジャーに求めるという<志向>も関係しているのではないかと思います。

元記事は下記
■「日本にカジノできても行かない」が半数以上 旅行サイトのアンケート
https://www.danro.bar/article/12019551?fbclid=IwAR3zOPZEt4-njkeCjAgJReZ4cneG_wE4d-A3rVp8Uqy9G36_GDfEtGejFac

2018年12月17日月曜日

遊技機1台当たり売上 2カ月連続減少

サービス産業の売上高等の経営動向を把握するために、経済産業省が毎月実施している「特定サービス産業動態統計調査」によると、10月度のパチンコホールの遊技機1台当たりの売上高は42万7433円で、1日当たりに換算すると1万4千円前後。月当たり台売上は9月より1万4574円減少、前年同月より8445円減少だった。

調査対象企業の10月度の総事業所数は1247店舗で、前月より1店舗減少。平均設置台数は531台で前月より3店舗増加。1店舗当たり売上高は2億2690万円で前月より670万円減少。

同調査は、特定のサービス業に属する事業を営む企業(又は事業所)のうち当該業種の全国(又は特定の地域)の年間売上高の概ね7割程度をカバーする売上高上位の企業(又は事業所)を調査対象にしているが、パチンコホール事業については、全国店舗の13%程度をカバーしている。


日本企業からも参加 マカオ大学「統合型リゾート経営管理学 短期訓練課程 #6」

マカオ大学工商管理学院は、IR産業関連企業の上級幹部を目指すビジネスパーソン向けの短期集中講座「グローバルリーダーシップ育成プログラム~国際統合型リゾート経営管理学(GLDP)」の第6回目を11月30日~12月3日にマカオで開催しました。
これに参加してきたわけです。
GLDPとは何か?ということについてはこちらの記事で説明しています。

ざっくりとした印象というと、長崎開催のModule5では「IRとは何か?」という説明から始めたのに対して、「レジャー産業への経済学の応用」で始まった今回のModule6(マカオ開催)は普段の大学・大学院の講義に近いのではないかと感じた。


「レジャー産業への経済学の応用」を講義したRicardo Siu教授

リカルド・シウ教授の講義では、余暇需要の決定要因を考える中で、「お金」と「時間」が重要だとして、「需要の価格弾力性」と「時間の貧困」について説明した上で、高給消費者にとっての「統合されたリゾート」というコンセプトの魅力を論じました。

4日間、30時間というプログラムの中では、座学だけでなく、グループディスカッション(そして深夜にホテルの部屋で資料探しやスライド作成)、IR関連施設の視察もありました。個人的には、ウィン・パレスのバックオフィス・ツアーが刺激的でした。事前に大学にリクエストしていたものをほぼ見せていただいたので。これについては機会があればまた後日書きます。


7つのグループに分かれた参加者は講義の合間に
議論を重ね、最終日のグループ発表に臨んだ

日本からの参加者にとって特に有益だったのは、マカオのレスポンシブル・ゲーミング公共政策についてのレクチャーだったかもしれません。

日本でIRの導入にあたり議論が活発化したのがギャンブル依存問題ですが、今回の教授陣のひとりデイビス・フォン教授はマカオ政府に協力し、この問題に10年以上取り組んできた専門家です。


レスポンシブル・ゲーミングなどマカオの
公共政策を説明したDavis Fong教授


公共政策としてのギャンブル依存対策

マカオではカジノ事業の1社独占体制が終わり、2004年5月、新たにライセンスを得た事業者のカジノ第1号「サンズ・マカオ」が開業しました。建設途中の開業半年の時点で投資を回収してしまったといわれる、すさまじい収益をたたき出しました。
これがマカオのカジノ産業の爆発的な拡大の始まりですが、同時にマカオ居住者のギャンブリング障害者数も増加することになりました。

しかし政府はこれに先立つ03年、マカオ大学内に「カジノ研究所」を設立し、初の全国調査である「マカオ住民のカジノ参加状況調査」を委託するなど本格的な実態調査を開始していました。
政府の委託を受けたデイビス・フォン教授らは、07年にレスポンシブル・ゲーミングの「指導原則」を提出。翌08年に政府は「責任あるギャンブリング政策」の推進を宣言、09年に政府社会工作局、博彩監察協調局、マカオ大学カジノ研究所が「責任あるギャンブリング推進」活動計画を発表しました。

04年から13年の間に相次いでカジノ施設が開業し、07年にはコタイ地区に「ベネシアン・マカオ」が開業しています。この9年間にマカオカジノ産業の市場規模は約9倍になりました。
しかし、産・官・学の連携によるレスポンシブル・ゲーミング政策の推進により、13年にはギャンブリング障害が疑われる成人の割合は、03年の水準を下回るほどに低下しています。



アメリカ精神医学会によるDSM4基準で「Pathological Gambling」(病理学的賭博=持続的で反復的な不適応的賭博行為。10項目中5項目以上に該当)の割合は、03年調査では1・8%、07年調査では2・6%、10年調査では2・8%、13年調査では0・9%と推移しています。
DSMの改訂版であるDSM5基準で集計された16年調査では、「深刻なギャンブル障害」の割合は0・5%、これより軽い「中程度のギャンブル障害」の割合は0・8%になっている。

日本は、マカオの産官学連携によるレスポンシブル・ゲーミング政策を、良い先例として大いに研究する必要があるはずです。 



田中 剛・Editor
Report by Tsuyoshi Tanaka

[KEY]UNIVERSITY OF MACAU Global Leadership Development Program – Module 6

2018年11月5日月曜日

インド洋の楽園のホットなカジノ BALLY'S COLOMBO

 ボリウッド・スターのSonakshi Sinha(中央)
この仕事をしていて、まさかスリランカ(Sri Lanka, Ceylon) に行くことになるとは、夢にも思っていませんでした。
日本国内のアミューズメント産業を取材したり、サーベイをもとにした消費者の態度分析をしたり、海外のカジノの取材をしたり...というのが日常ですから。
しかしながら、縁あって、スリランカ・コロンボに行ってまいりました。

まずは空港に迎えに来てくれ、丸3日間サポートして下さったfriends。
そしてコロンボの空港。スリランカには3つのカジノがあります。「バリーズ」「ベラジオ」「マリーナ」。米国のバリーズ、ベラジオとは関係ありません。
カジノ「BALLY'S COLOMBO」の広告がずらり
 以下、記事風に。

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スリランカ(スリランカ民主社会主義共和国)の老舗カジノ『BALLY'S COLOMBO』は10月19日から28日までの10日間、開業23周年を記念するイベントを開催した。同カジノのゲストはインドからの渡航者が大半を占めるため、このセレブレーション期間にはSonakshi Sinha、Sanjay Kapoor、Dino Morea、Urmila Matondkarなどインドのセレブリティ、Bollywood Stars(インド・ムンバイの映画産業界のスター)を招いたステージが連日繰り広げられた。インド国内では間近に見ることのできないスターを一目見ようと、通常時よりもさらに多くのインド人ゲストが訪れた。
インドのスーパースターの登場に、ステージ前に
詰めかけてスマホをかざすインド人客たち

カジノ内は多くの花によって飾られ、23周年を祝う巨大なケーキ、運営会社バリーズ・リミテッドのアヌラダ・ペレラ社長によるシャンパンタワーなど祝賀ムードに包まれた。カジノゲストも通常時よりも着飾った女性が多く、華やかな雰囲気。
 BALLY’S COLOMBOはスリランカ政府からライセンスを得て国内最大の経済都市コロンボで営業している3つのカジノのうち、もっとも歴史が古く、もっとも規模が大きい。ゲーミングテーブル約100台、ゲーミングマシン約100台で、テーブルゲームはバカラ、ブラックジャック、大小、ルーレット、テキサスホールデム、アジアンポーカー、スリーカードポーカーなど多彩。来場者の95%~97%が外国人で、その大半を占めるのがインド人。次いで様々な国籍を持つ中国系人。
海外からのゲストのほとんどは「パッケージ」と呼ばれるプログラムを購入している。これは、空港・カジノ間の送迎、5つ星ホテルの3夜宿泊、ホテル・カジノ間の送迎、カジノ内レストランの食事、プレイ用チップが含まれた商品で、最低価格が8000USドル(約90万円)から。プレイ用チップは同額のローリングチップが渡され、いくつかの条件(1日6時間以上のプレイ等)を満たすと、500USドルを上限に復路の航空券が贈呈される。

バリーズ・リミテッドは、ライフスタイル、金融、レジャー、アルミニウム、農業、消費財など幅広い企業を束ねるホールディングカンパニー、Vallibel ONE PLCの一員。レジャー部門では17軒のホテルを所有。このうち5軒が5つ星ホテルで、官邸、中央銀行、外資高級ホテルなどが集積する中心部にもKINGSBURY HOTELという5つ星ホテルを所有している。その強みを生かし、自社グループのホテルや提携ホテルでの宿泊をコンプとして提供しているというわけだ。
アヌラダ・ペレラ社長は、「当社のカジノはゲストに最大限楽しんでいただくために、おそらくアジアでナンバーワンの還元をしている。ホテル宿泊費や航空券の負担のほかにも、クルマなどさまざまな景品が当たる抽選会をたくさん行っている」と言う。
アヌラダ・ペレラ社長は、
「当社のカジノはゲストに最大限楽しんでいただくために、

おそらくアジアでナンバーワンの還元をしている」と胸を張る。

スリランカはインド南端のインド洋の島国で、かつてはセイロン島して知られていた。現在も紅茶や農作物の輸出は大きな産業だが、欧米人の間では美しいビーチを持つリゾート地として人気が高く、観光地としても日本に知られ始めている。BALLY’S COLOMBOは、入口でパスポートを提示すれば旅行者でもプレイヤーズカードを作ってカジノを遊ぶことができる。先述の「パッケージ」でなく、遊びたい分のチップをカジノ内で購入することもでき、ミニマムベットが130円程度のテーブルもあるので、観光のついでに運試しをするのにちょうどいいカジノだろう。

Text&Photos︰Tsuyoshi Tanaka(Amusement Japan)

Key 田中剛 アミューズメントジャパン スリランカ Sri Lanka  カジノ casino 
 
 

2018年9月15日土曜日

デザインされたギャンブル依存症(ADDICTION BY DESIGN)

これはマシン・ギャンブリングに焦点を当てたものです。
著者である文化人類学者のナターシャ・ダウ・シュール(ニューヨーク大学メディア文化コミュニケーション学科准教授)は、伝統的なテーブル・ゲームと、マシン・ギャンブリングを異なるものと捉え、マシン・ギャンブリングの際立った特徴として、
“たったひとりで連続的にすばやく賭けられる”
“ありとあらゆるギャンブル行為の中で最も集中的な発生頻度を伴う行為である”
を挙げています。

カジノゲーム機は、それに過度にのめり込んでいるプレイヤーに何をもたらしているのかについて、次の箇所は端的に説明していると思います。

“ひとりきりの、途切れることのないマシン・プレイの過程では、トランス状態にも似た安定状態が生まれがちで、その状態が、不安、憂鬱、退屈といった「内面や外部の問題をまぎらわせてくれる」。”
“マシン・ギャンブラーがやみつきになるのは、勝つチャンスにではない。マシン・プレイがもたらしてくれる、世界が溶けて消えていくような、主観が一時停止して感情が落ち着く状態に、やみつきになるのだ。”

プレイヤーは、テーブルゲームとは異なり、落ち着いた状態にある。
これは、パチンコも同じかもしれません。
以前、ボクが取材でお話を伺ったあるパチンコ好きの芸能人の方は、パチンコ店という、普通の人からしたら騒々しい空間の中で、パチンコに向かっているときに「静寂」を感じる言いました。そして、「茶室」だと表現していました。

そして著者は序章でこう書いています。
“ギャンブラーかギャンブリング・マシンのどちらかではなく、二者のあいだの動的相互作用の内にある依存症をつきとめたい。”

本のタイトル(の原題)である、『ADDICTION BY DESIGN』は、“問題のあるギャンブリングは、問題のあるギャンブラーだけの話ではない”という意味が込められています。
著者は、“問題のあるマシン、問題のある環境、問題のある商習慣の話でもあるのだ。”と言います。

2018年8月16日木曜日

宝くじネット投票 クレジット決済を導入

共同通信によると、総務省所管の「宝くじ」の2017年度の販売額が前年度比6.9%減少の7866億円にとどまった。
大きな要因として、人気商品である5種類ある「ジャンボ」の販売額が前年度より13.1%も落ち込んだことが挙げられている。

宝くじの販売額は2000年代前半がピークで1兆1000億円を超えていたが、以降は減少傾向にある。2015年度は前年を上回り9000億円を超えていたが、直近は2年連続して前年を下回っている。

総務省はこの状況の打開策としてかねてよりインターネット販売の拡大が議論されており、ついに今年10月から「ジャンボのインターネット販売が開始される。
宝くじ商品のインターネット販売は2014年1月から「ナンバーズ」で始められた。以降、2016年1月には「ロト」のインターネット販売が始められた。しかし、販売額全体の41.4%(2017年度)を占める人気商品の「ジャンボ」はインターネット販売されていなかったのだ。

もうひとつの販売拡大施策が、「クレジットカード決済の導入」だ。これまで宝くじのインターネット販売の決済手段は、インターネットバンキングによる口座引落しのみだった。クレジットカード決済の導入により、銀行口座に残高がない人が後払いで宝くじを購入できることになる。

「クレジットカード決済の導入」は、ギャンブル等への過度ののめり込みが社会問題として注目が高まっている中で、流れに逆行するようななりふり構わない販売拡大施策と言えないだろうか。

 

2018年8月9日木曜日

観光客の増加で「観光公害」が深刻化

8月8日の日経新聞(WEB)が「観光公害、マチュピチュやイースター島で広がる 」というタイトルの記事を配信しています。

◆世界の有名観光地で観光客の滞在を規制したり、流入に地元住民が抗議したりする例が相次いでいる。
◆観光客の増加で、観光地の受け入れ体制整備が追いつかず、環境汚染(ゴミの処理が追い付かない)や地元住民との摩擦が「観光公害」として表面化してきた場所がある。        
というもの。  


日本でもすでにその兆しはあると思います。

自分が昨年、京都を訪れたときにもそれを感じました。
錦市場はまるで東京の通勤電車内のような混雑ぶりで、その多くは明らかに観光客。この市場通りは「市民の台所」の役割も担っていたので、いまでもここで日常の食材を買いに来るお年寄りは多い。しかし、とてもじゃないが今、地元の人が錦市場で買い物をする気にはならないでしょう。

伏見稲荷大社も大変な賑わいっでした。正確に言えば、そこに向かうJR奈良線から千本稲荷までずっと、大勢の観光客がいた。
外国人観光客を観察しながら、駅と千本稲荷を往復しましたが、彼らは全然お金を遣っていない。せいぜいソフトクリームを買ってるくらい。千本稲荷のトンネルを歩くのにお金はかかりませんので。

観光客が増えればその町は潤うと期待しているわけですが、お金を使わない観光客は町にとってはむしろ負担になります。

どうすればよいかは、2つの考え方があります。
ひとつは、お金を遣ってくれる観光客にフォーカスして誘致活動をする。
もうひとつは、お金を遣ってくれるような○○○を作る。
後者は、「滞在時間を延ばすために宿泊施設を作る(その地でのFB売上も増える)」「外国人観光客向けに新サービス(着物・忍者・瞑想体験etc.)を提供する」など。

現状、訪日外国人旅行者の、<体験>への支出である「娯楽サービス費」は1人1泊あたりたったの600円です。これは「買物代」の8%に過ぎません。
TDLやUSJやロボットレストラン(笑)に来ている外国人観光客が大勢いるのも事実ですが、そこに行かない外国人観光客が圧倒的多数であり、平均したら娯楽サービスにはたったの600円/日しか遣っていないのが現実なんです。お金を払ってでも体験したい魅力的なコンテンツが日本にないのかもしれないですね。

昨年1年間に日本を訪れた外国人は約2800万人でした。政府はこれを2020年に4000万人に、2030年に6000万人にするという目標を掲げています。数を増やすと同時に、1人あたり消費額を上げるという戦略が必要でしょう。





2018年8月8日水曜日

新たな遊技機の「指定試験機関」GLI Japanへの期待と疑問

8月6日付の官報がパチンコ業界関係者、カジノ業界関係者を驚かせている。「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」第20条第5項に規定する指定試験機関を指定する規則の一部が改正され、一般社団法人GLI Japanが指定試験機関が加わったことが公表されたからっだ。指定試験機関は長らく一般財団法人保安通信協会(保通協)の独占状態にある。かつて指定を受けた機関はあったが、機能した実績はなく撤退している。

指定試験機関の申請にあたっては、「試験事務を実施するための機械、器具その他設備の種類及び数を記載した書面」の提出が必要であり、認定または検定に必要な試験の実施に関する事務を適正かつ確実に実施することができると認められることが審査基準にあることからも、一般社団法人GLI Japanが遊技機の試験をする能力を有していることは間違いない。ただし、実際に試験機関として機能するか、また、機能する意図があるかは不明。

世界のゲーミング業界で「GLI」といえば、カジノゲーム機器などの試験・認証を行っているアメリカの民間企業Gaming Laboratories International LLC.を指す。GLIはゲーミング規制当局や製造メーカー、運営事業者を顧客に持つ業界最大手で、世界に23の拠点を有する。

現時点で米GLIのWEBサイト内には日本拠点の記述はなく、一般社団法人GLI Japanと米GLIとの関係は不明。

一般社団法人GLI Japanは保通協の独占を切り崩すコンペティターになるのか、連携し何らかの役割分担をするのか。もしくは、将来、日本に統合型リゾート(IR)が誕生しカジノが開業した際に、カジノ機器の試験・認証業務に乗り出すための布石なのか。
    *   *   *
米GLIに、一般社団法人GLI Japanとの関係を問合せ中なので、回答がありしだいお伝えしたいと思います。

【追記】
一般社団法人GLI Japanには滝澤氏のほかにもう一人、代表理事がいました。その方はIan Hughes氏で、米GLI のバイスプレジデントです。

【参考】
<風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律>
第二十条 第四条第四項に規定する営業を営む風俗営業者は、その営業所に、著しく客の射幸心をそそるおそれがあるものとして同項の国家公安委員会規則で定める基準に該当する遊技機を設置してその営業を営んではならない。
2 前項の風俗営業者は、国家公安委員会規則で定めるところにより、当該営業所における遊技機につき同項に規定する基準に該当しない旨の公安委員会の認定を受けることができる。
3 国家公安委員会は、政令で定める種類の遊技機の型式に関し、国家公安委員会規則で、前項の公安委員会の認定につき必要な技術上の規格を定めることができる。
4 前項の規格が定められた場合においては、遊技機の製造業者(外国において本邦に輸出する遊技機を製造する者を含む。)又は輸入業者は、その製造し、又は輸入する遊技機の型式が同項の規定による技術上の規格に適合しているか否かについて公安委員会の検定を受けることができる。
5 公安委員会は、国家公安委員会規則で定めるところにより、第二項の認定又は前項の検定に必要な試験の実施に関する事務(以下「試験事務」という。)の全部又は一部を、一般社団法人又は一般財団法人であつて、当該事務を適正かつ確実に実施することができると認められるものとして国家公安委員会があらかじめ指定する者(以下「指定試験機関」という。)に行わせることができる。

2018年8月5日日曜日

日本はカジノハイローラーに周遊観光してもらうつもりですか?


公共事業の1ピースという不安

「日本には四季がある」とか「美しい自然がある」「食べ物が美味しい」というお国自慢を聞かされてる外国人の中には、
「オレの国にも四季はある(世界中ほとんどの国に四季はある)んだけどね…、美しい景色だって美味い食も日本以外のとこにもあるんだよね」
と思ってる人もいるに違いない。

日本の地域地域にあるこれら観光資源と呼ばれるものは本当に、多くの外国人観光客を引き寄せるほどの強力な集客コンテンツなんだろうか? 富士山の眺めや京都の神社群のように突出した眺め、場所は別として。

「地域の魅力の発信」って、IR施設を誘致しなくてもできるし、すでにやってるのではないか? 外国語(まず中国語、英語)で情報発信する、街の案内表示に外国語を増やす、海外の旅行博に出展して海外の旅行業者にアピールする、等々。

その結果、訪問者に占める外国人客の割合があまり高まってないとか、外国人客の消費金額が少ない、地域にあまりお金が落ちてないという状況だとしたら、それをどうとらえるか?

ひとつは、「他の地域と比べて外国人客にとっては魅力が低い」というとらえ方。

もうひとつは、「ポテンシャルはあるが、まだ交通インフラや観光拠点がじゅうぶんに整備されていない」「ポテンシャルはあるが、まだ、点在する地域の魅力を統合できていない、連携できていない」というとらえ方。後者は、要するに「お金があれば...」ということ。

企業であれば、商品なりサービスなりの魅力度を高めることで売上が拡大すると確信しているなら、お金を調達して投資します。しかし全国各地の地方自治体で、過去に、第三セクターが誰も利用してくれない施設を作ったりして多額の赤字を垂れ流し、あげくに二束三文で民間に売却、という経験があるので慎重です。
そこで、統合型リゾート(IR)の誘致です。IR施設自体は民間事業者の投資によって建てられます。そこに自治体の税金は投じられません。IR施設に多くの集客をしてもらうために、空港からIR施設までの交通インフラ整備などは誘致自治体が行います。

では、IR施設から少し離れた「ポテンシャルはあるのだが...」という場所の、観光振興のための整備はどうするのか? 

国と地方自治体は、IR施設内のカジノ事業の売上(GGR:Gross Gaming Revenue=カジノ行為粗収益)の30%を納付金として徴収します。半分は国へ、もう半分は地方自治体へ。つまり地方自治体には永続的にGGRの15%が入ってくるのです。法人税と違って、IR事業者の採算など考慮せずに、売上(GGR)からまっさきに徴収しますから、自治体としては心強い財源です。

こういう心強い財源が生まれると決まれば、自信をもって地方債発行などもでき、地域の観光振興のためのさまざまな整備ができます。巨大な公共事業のスタートです。


IR施設に誰に来てほしいのか?

個人的にはカジノ売上(GGR)に対する納付金のすべてが「観光振興のため」に使われることに違和感があり、福祉や教育にも使うべきではないかと思うところです。IRを誘致しようとしている自治体の住民の方々は、国が定めた「IR整備法」について議論するよりも、地方自治体が上記カジノ税を何に使う計画なのかについて議論なり監視なりをすべきと思います。

カジノ税を見込んでいたるところで道路工事が始まり、「地域文化・魅力発信館」といった観光案内所や○○ミュージアムが建てられ、フタを開けてみれば利用者はわずか、儲かったのは建設業界と地域経済界の一部の人...なんてことになりかねません。

IRを誘致しようとする都道府県は国に対して、地域全体をどのように整備するかという計画を提出して審査を受けます。
もうちょっと詳しく説明すると、次のような流れです。
①地方自治体はIR事業者を公募して選びます。
②地方自治体はIR事業者からの提案に基づいた「事業基本計画」を作ります。これは、IR施設の事業計画です。
③上とともに、地方自治体は、IR施設ができることによる懸念事項への対応、周辺インフラの整備や周辺環境対策等の施策を含めた「区域整備計画」をIR事業者と共同で作成し、これを国に提出します。ポイントは、この計画は、IR施設の外側をどうするかというものだということです。

この区域整備の費用のすべてがカジノ税だけで賄えるとは思いませんが、大きな財源になることは間違いありません。住民負担が少ないという点で、画期的な地域振興計画だと思います。

しかし冒頭に書いたように、そもそもその地域の文化なり自然なり特産品が、外国人観光客の嗜好に合うとは限りません。魅力に感じられないものをいくらアピールしても集客に結び付きません。

少なくとも、地域の収益源となるIR施設に関しては、集客コンテンツを考える際に、「我が地域の魅力」というプロダクトアウトの発想を抑え、「外国人プレミアム層の嗜好に合わせる」というマーケットインの発想をもっと盛り込むことが必要ではないかと思います。

カジノ施設の役目は稼ぐこと!

しばしば、マカオのIR産業のノンゲーミング事業の強化を、「マカオのIR産業はノンゲーミング事業へとシフトしている。ノンゲーミングも大きな需要がある」という文脈で語られることがあります。しかし、当方は、マカオのIR施設がノンゲーミング事業を強化しているのは、ゲーミング売上への極端な偏重の是正のために、強引に需要喚起のためにノンゲーミング施設を作っていると考えます(それは正しい方向性だと思います)。

マカオの観光産業に占めるゲーミング売上はいまだ90%です。しかも、ノンゲーミングの多くを占めるのがホテル宿泊ですが、1000数百室あるIR施設のホテル宿泊の稼働の50%以上がカジノ客へのコンプ(特典)です。もちろん、コンプでなく自費で泊まってカジノで遊んでいる客も大勢いるわけです。
マカオで増えているノンゲーミング施設はIR施設の中に造られたものであり、IR施設に来た客が数キロ離れた観光・レジャースポットに遊びに出かけているわけではないのです。集客の「核」はあくまでもカジノだということを忘れるべきではありません。

日本の場合、まず、カジノにお金を落としてくれる外国人プレミアム層にIR施設に来てもらう必要があるのです。日本版IRの場合、来てもらったら、否応なく我が地域の魅力が目に入るような施設の作り方をすればよいわけです。
そして、IR施設に来た客の全員が、IR施設の外側の観光スポットに足を延ばしてくれなくてもいい(仕方ない)のです。
日本に来たカジノ客(外国人プレミアム客)はIR施設から出ずに空港に戻るかもしれない。しかし、がカジノ客が落としてくれたお金によって、地域の観光拠点が整備されて、カジノ客とは別の属性の訪問者が増えてくれれば成功なのです。


IR施設におけるカジノ施設には、その稼ぎによって他のあまり儲からない部門をサポートして施設全体の魅力を高めるという役目と、売上(GGR)にかかるカジノ税によって地域の観光振興に貢献するという重要な役目があります。
当方は、地方都市型IR施設こそ、カジノ客(外国人プレミアム客)の誘致と地域を周遊する観光客の誘致を、切り分けてそれぞれ考えたほうがよいと思うのです。

田中剛(Tuyoshi Tanaka)/editor

2018年7月25日水曜日

マスコミによる印象操作 ~もはや攻撃もしくは誤報では?

危機感を煽りたいがために不正確な情報を並べ立てるのはいかがなものか?

某新聞に載っていたギャンブリング障害の人の回復支援に取り組んでいるソーシャルワーカーの方の取材記事(もしかしたら本人執筆か)、未だに「日本にはギャンブル依存の疑いがある人は536万人」なんて数字を挙げている。
本当にその分野の専門家なら厚労省の最新調査に目を通して、知識をアップデートすべきと思うのですが。

70万人ですよ!

消費者金融で手軽にお金を借りられるって言ってるけど...、それ、いつの時代? 総量規制で年収の1/3に制限され、ロードサイドから無人契約機やキャッシュディスペンサーがどんどん消えていったのは、もう8年も前の2010年のことです。手軽に借りられる状況とは言い難いと思います。

総じて印象だけで語ってるような気がしてなりません。

ギャンブリング障害は高学歴者が多い?


ギャンブル依存症通院患者に占める学歴が大卒以上の人の割合が42%であることを挙げて、「高学歴に傾いている」とか」「競争社会の歪み」という珍説を展開してます。

男女あわせた4年制大学への進学率は1975年に27%くらいでしたが、男性に限れば40%を超えていました。現在、61歳くらいの方々です。1999年には男女合わせた4年制大学への進学率が40%(男性に限れば47%くらい)。現在の30代後半の方々です。
全員が卒業したわけではないでしょうが、世の中には大卒者というのはこのくらいいるのです。

つまり、ギャンブル依存症通院患者に占める大卒者の割合が42%というのは、「世の中の大卒者の構成比とほとんど同じ」ということ。ここから言えるのは、最終学歴とギャンブル依存はおそらく関係ないだろとうということ。
なんでこんなこともわからないのに専門家のような顔をして、「xxxxは危険」みたいなことが言えるのだろうか? 記者もおかしいと思わないのだろうか?

ソーシャルワーカーであるなら、本業である、目の前の患者さんの支援に集中していればよいと思う。知見のないことにまで口を出したり、不正確な情報を拡散したりするのは慎んだほうがよいのではないか。
それ以上に、このような不正確な情報に基づいて患者さん支援の施策を考えたりしてるソーシャルワーカーがたくさんいるのではないか?ということが心配です。不正確な情報、不適切な解釈に基づいて支援していては、患者のためにならないのではないかと心配です。


新聞社の記者・編集者にも大きな責任があって、取材相手がしゃべったことをただ文字起こしするならソフトウェアにできるただの「作業」。メディアの専門職なら、「私が調べた数値とは違う」とか「それは統計的に『関連がない』ことを意味しているのではないか」と指摘するか、厚労省の調査の結果を書き添えるとかしていただきたい。

もしかしたら新聞社側に、<危機感を煽る>という目的が最初にあって、それに都合のいいコメントをかき集めているのかもしれません。取材を受けたご当人も、「こんなこと言ってない!」とか「そういう文脈で言ったのではない!」と当惑しているかもしれません。いずれにせよ、恐ろしいことです。


2018年7月24日火曜日

パチンコ・パチスロ市場とギャンブル市場の比較

先週木曜日(7月19日)、公益財団法人 日本生産性本部が『レジャー白書2018』の概要を発表しました。

余暇市場をさまざまなカテゴリーに分け、参加者率やそこからの参加人口推計、各種産業データをもとにした市場規模(総売上)の推計などをまとめています。

2017年の余暇市場全体は69兆9310円で、前年比0.2%増加。

パチンコ・パチスロの市場規模(総売上高)は19兆5400億円で、同4.3%減。

余暇市場全体に占めるパチンコ・パチスロ市場の割合が非常に大きく、これがマイナスだと全体に大きく影響します。パチンコ・パチスロ市場を除いた余暇市場の市場規模はどうかというと、前年比2.1%増で、5年連続して前年を上回っています。

『レジャー白書2018』では、中央競馬、地方競馬、競輪、ボートレース、オートレース、宝くじ、スポーツ振興くじを、「娯楽部門」の「ギャンブル」というカテゴリーにくくっています。※パチンコ・パチスロは、「娯楽部門」の「ゲーム」というカテゴリーです。

この「ギャンブル」とパチンコ・パチスロの市場規模の推移を比較してみました。図は2007年を起点とした推移です。実は、ギャンブル市場は東日本大震災のあった2011年以降、回復基調が続いているんです。これは別に震災の影響ではなく、インターネット投票の普及(公営ギャンブルのオンラインレジャー化)と景気回復が大きな要因だと思います。


取り急ぎ。
たぶん、近日、続きを書きます。

田中剛/アミューズメントジャパン編集部
Tsuyoshi Tanaka/Amusement Japan

2018年7月20日金曜日

こういうのをマスコミの印象操作というのだろう

これは酷い! 本日(2018-07-20)の朝日新聞、IR整備法の成立を見越してギャンブル依存の特集記事。しかし、危機感を煽るために不正確な引用。
日本にギャンブル依存症患者が多いかのようなグラフをばーんと!


日本人成人の3.6%がいまギャンブル依存症が疑われているかのようなグラフ。

しかしですね、この3.6%という数値は、「生涯のある時点でギャンブリング障害の疑いがある状態になったことのある人」の割合です。生涯の有症率。いま現在のことではありません。「生涯で~」という調べ方をすると高齢化した国ほど数値は大きくなります。

現状を調べるには、「過去1年間に~」で調べた値を使うべきです。17年の厚労省調査によると、「過去1年間にギャンブリング障害の疑いがある状態になったことのある人」は0.8%でした。これはアメリカの半数以下、イギリスと同程度です。決して日本が多いわけではありません。

それよりも、着目していただきたいのは生涯の有症率3.6%と過去1年間の有症率0.8%の差です。この2.6%ポイントの人々はどうなったか?
日本の成人は約9000万人なので、約320万人が「生涯のある時点でギャンブリング障害の疑いがある状態になったことのある人」です。そして「直近1年間ででギャンブリング障害の疑いがある状態になったことのある人」は約70万人ということです。この差の250万人はどうなったのか?

治ったわけです。
少なくとも、過去1年間は「ギャンブリング障害の疑いがある状態」にないのです。


ギャンブルへの過度ののめり込み(ギャンブリング障害)が不治の病であるかのような症例(当事者)や医師、回復支援関係者のコメントばかりをかき集めて不安を煽るのは、ちょっと「嘘」に近い行為のように思えます。

ギャンブルの新たな種目を解禁することに反対する人もいるでしょうが、「ギャンブル依存症が〜」と本気で心配するなら、実態を伝えつつ、本当に必要な支援・有効な支援がどういうものかということを伝えていただきたいものです。

2018年7月9日月曜日

#マカオにおけるカジノの広告宣伝規制

マカオのゲーミングを規制する法律(広告宣伝規制)では下記のように定められてます。
カジノ運営者は、あらゆる広告活動において、カジノゲームを本質的なテーマとして扱ってはいけない。

Under Article7, Law No. 7/89/M (Advertising Activities),
gaming operators cannot use the games of chance as an essential subject of any advertising activities, including shuttle bus advertising, outdoor large display panels, electronic screen advertising, and other promotional items.

※「games of chance」とは、ここではカジノで採用されているテーブルゲーム及びゲーミングマシンを指します。

そういうわけで、カジノ運営者は直接的にせよ間接的にせよ、カジノゲームへの参加を誘うような広告を行うことができません。

もし、日本版IR議論の中で、「マカオなみの広告宣伝規制を当てはめよう」となったら、「既存の公営ギャンブルやギャンブル的なレジャーの広告宣伝は今のままでいいのか?」ということも議題にあがることでしょう。

2018年7月8日日曜日

#カジノ統合型リゾートを学術的見地から研究する人材の育成は誰が?

マカオのカジノ産業は長きにわたり1社独占の状態にありました。その営業権に期限切れを機に、マカオ政府は公開入札による市場開放に踏み切りました。
これによって2002年にラスベガスに拠点を置くカジノオペレーターを含む6社に新たにカジノ営業ライセンスが付与されました。
マカオとしても中国政府としても、これを機に制度を整備し管理しつつ、産業として育成しようという意図です。

このとき、多くの若き研究者を海外に留学させました。
そしてマカオ唯一の公立大学であるマカオ大学(University of Macau)は2003年にゲーミング学位課程を新設し、ラスベガスやカナダなどに派遣され学術的な見地からゲーミング産業を研究していた教授陣が帰国し教鞭をとりました。また、これと同時にマカオ政府は同大学内に公立のカジノ研究所Institute for the Studies of Commercial Gaming(略称ISCG、中国語では博彩研究所)を設立しました。
マカオ大学と公立ISCGにより、高度人材育成と基礎研究の態勢ができ、それに基づく政策提言がなされるようになったのです。



UNIVERSITY OF MACAU began its Gaming curriculum course in 2003, before that, there hasn’t been any of such educational program. Macau Special Administrative Region Government, in conjunction with the liberalization of casino industry to global operators, set up such academic and educational program dedicated to gaming, and a research center called the Institute for the Studies of Commercial Gaming (ISCG). These two bodies collaborated and became the locomotive of academic and research foundation of gaming industry on which Government relied for its public policy and implementation into its society.


さて、日本ではどういう公的な機関が、人材の育成、産業研究を担うようになるのでしょうか?


2月にマカオ大学の工商管理学院(日本風に言うと経営学部)を訪問しましたが、ここにはゲーミング部門の管理職向けの授業が行われる(学生の中にはIRオペレータ企業で働いている社会人も少なくない)ラボ、模擬カジノルームがあります。
ディーラー養成の授業ではなく、ディーラーを「管理」する人材を養成する教室で、模擬サベーランスルームもあります。

2018年6月21日木曜日

「人間関係」についての強い不安や悩み


職場・仕事に関して強い不安や悩みを抱えている人の割合。女性は男性と比べて「人間関係」についての強い不安や悩みを挙げる人の割合が多い。
これをもって、「女性はセンシティブだから」というのは早計で、まじめにこのデータから何かを読み取ろうとしたら、仕事内容という軸を設けて分析しなければならない。
メンタルヘルス研究の現場では、この回答率の違いは、「性差よりも、仕事の質や立場の違いという要因」の方が大きいと捉えている。

雇用形態(正規社員の割合)、職位(役職者の割合)などに違いがあるという背景を知っていれば(大抵の社会人は知っていると思うが)、上記の解釈はかなり納得感があると思うのではないか。統計から何かを解釈するには、ある程度の知識がないと、表面的な数値の違いに惑わされてしまうかもしれない。

精神科医の石丸昌彦氏は、「男女で仕事内容に違いのない職場では、<職場の人間関係>を挙げる人の割合は男女で違いがない」と言います。

2018年6月3日日曜日

#IR整備法案審議 ~佐世保は今でも有力候補地か?

先週の国会ではIR整備法案(IR実施法案)の審議され、6月1日は安倍総理も登場しました。
安倍総理の発言は次の機会に譲るとして、最近、仕事関係(アミューズメント業界関係であったりカジノ業界関係であったりメディア関係であったり)の会食や飲み会では、やはりIR実施法の話題、IR候補地の話題が必ずと言っていいほど出ます。

その中で選ばれる場所について、「やはり、大阪、横浜、長崎が有力ですか?」と尋ねられることが多々あります。「政治家方面から、そういう情報を聞いてます」と言う方もいます(へー、そうですか)。

裏でいろいろな駆け引きをしている人がいることは、もちろん承知しています。しかし、どの自治体が選ばれるかなど、いま分かるわけないと思うのです。不確定要素が多すぎます。
 

「あそこにほぼ確定している」と言う方が嘘つきかというと、それもわかりません。あと数年は結論がでないので、自信満々に「あそこに決まってる」と、情報通ぶることもできるのですよね(笑)。

現状で、公に文書や映像になっていることと、その方面の知見をもとに推測するほかはないのですが、当方は、ちょうど1年くらい前から、「いま横浜、長崎は有力候補地とは言えないだろう」と思っています。尋ねられればそう答えてきました。関心がある方は、これをぜひ魚拓に取っておいてください(笑)。

横浜は、2017年7月の市長選を前に、それまでIR誘致推進の立場だった林文子市長が、「白紙」と宣言しました。再選のために。そして7月30日に見事再選を果たしましたが、もうすぐ1年がたとうというのに、公式にはIR誘致の意向を表明していないはずです。
今年4月5日の毎日新聞の記事によると、林市長は4日の定例記者会見でもIR誘致の方向性について、改めて「現状では白紙」と慎重姿勢を示しています。

裏でどんなことを画策していようと、住民の合意を形成する活動がない自治体を<有力候補地>と呼ぶには無理があるというのが、当方の見解です。

佐世保が当方の中で<有力候補地>でなくなったのは、昨年5月上旬頃、IR推進会議での議論内容が漏れ伝わってきたからです。
ハウステンボスを活用する佐世保案は、既存施設群を活用し、少ない投資ですぐに統合型リゾートを作れることがセールスポイントでした。この、「カジノを付け足すだけ」的なものは、開業前の経済効果が小さすぎるとも言えます。
地域の既存施設の活用は、佐世保市以外の地方都市でも一度は検討されたものだと思いますが、取りまとめ案には地理的な「一体性」も要求されていました。飛び地ではダメなのです。

さて、ハウステンボス案が厳しいということは、6月1日の審議からもじゅうぶんにうかがえます。

6月1日の衆議院内閣委員会でのIR整備法案(IR実施法案)審議で、浦野靖人議員(日本維新)から、IR設置基準について、地域ある既存のMICE施設を活用した計画が認められるかとの質問がありました。IR誘致を目指している地域の中には、候補地に隣接するすぐ近くに、すでに国際会議場がある場合があります。そこに新たにMICE施設をつくれば供給過剰となりますから。

これに答えた特定複合観光施設区域整備推進本部の中川真事務局次長は、「事実上、カジノ施設単体の整備と変わらないような計画」は適当ではないと説明しました。

中川次長の具体的な発言は下記の通りです。

「区域整備計画の中で、既存施設を活用することは必ずしも排除されているわけではないが(ダメとは言っていないが)、カジノ施設以外のものはすべて既存施設の活用にとどまり、事実上、カジノ施設単体の整備と変わらないような計画について、国交大臣が認定することは適当ではないと考えている次第です。」

というわけで、長崎県・佐世保市がIR誘致をひきつづき目指すなら、大幅な計画の見直しが必要だと思うのです。すでにそうしていると思いますが。

2018年5月24日木曜日

日本型の統合型リゾート(IR)に「地方型」なんてない

日本型の統合型リゾート(IR)をテーマにしたシンポジウムに出席中。弁護士、公認会計士の方々の話は少し新鮮だった。

せっかくなので気になっていた「地方型IR」なるものは、IR実施法の中で想定されているのか、法律家としてそのようなことが読み取れるのかを尋ねてみた。

というのも、当方の認識では昨年(2017年)7月末に発表されたIR推進会議による「取りまとめ」の内容は、それまでの議論と大きな変化があると思ったから。
現在、認定要件が緩和された、投資規模も小さくて済む、機能を限定されたという意味での、<地方型IR>というものは想定していないように読める。全てがカジノの他に5つの施設を擁する「国際的な競争力のある施設」であることが要求される。
そんなIRが、国内に5つも7つも作られるわけがないと、当方は思っている。

弁護士の方はこう答えた。

“弁護士の立場から法案を文言を読む限り、
 ・
 ・
 ・
現時点では大都市とは異なる基準の<地方型>というものの想定を読み取ることはできない。

やっぱりね。


2018年5月13日日曜日

ホスピタリティー・マインド

「日本人のおもてなしの心」というのは、たしかにあると思う。

でもそういうマインドは日本人だけが持ってるわけではないし、外国人にとって、それ自体が「日本に行ってOMOTENASHIを体験したい!」というほどの動機になるとは思えない。

昨日と同じ、Sheraton Grand 1階のカフェで朝食。似たようなものを頼んだら、レジのプアカーオ(元K-1選手)似の若者が「昨日と同じですね。ヨーグルトは体調を整えるのにいいですしね♪」とニコリ。

サラリと言ってのけたけど、平日の閑散期じゃないですよ、週末ですから。すごい数の客が来てるだろうに。

そういえばホテルマンにしろレストランのフタッフにしろ、「良い一日をお過ごしください」とか、「滞在を楽しんでください」とかごく普通に言ってますよね。それは定型フレーズなのかもしれないですけど、日本だと「いらっしゃいませ」どまりが多いと思います。
会計を済ませた客を送り出すときは「ありがとうございました」と、自分が感謝してると伝えはするけど、相手に「良い一日を!」とまでは言わないですね。

日本の凄さは、所得格差の少なさ、教育水準の均質さ、道徳観の差の少なさなどではないでしょうか? 引ったくり少ないし、落し物は見つかるし。まあ、おもてなしとはちょっと違いますよね。

さっきチェックアウトしたんですが、外に出たら湿度のせいで一気にメガネが曇り視界が30%くらいに。見えない!
視界が戻ると目の前にチェックインした時のベルボーイ君が立っていて、「滞在はどうでした? MGMはどうでした?」と声をかけてきた。

サラリと言うね~。
自分が泊まっていたのはMGMではなく、SANDS CENTRALのSheraton Grand。MGMは隣の敷地にあるライバル施設。

実は、チェックインし部屋に荷物を運んでもらったとき、彼にMGM COTAIへの行き方を尋ねた(ボクはMGM COTAIの取材に来たので)。
彼はその会話を覚えていたわけ。
よく覚えてるものだな。
ゲストに関心を持っているんだな。

いい感じだったので、トリップアドバイザーで高評価をつけておくよ!

日本ではホテルマンにしろ、レストランのホールスタッフにしろ、こういうひと言を添えられる人は少ないように思うけど、日本のOMOTENASHIって本当にそんなにすごいのかね?

マカオのギャンブル依存問題対策

マカオの各カジノには、レスボンシブルゲーミングを啓蒙するためのキオスクブースがある。

インタラクティブ端末でギャンブリングに関する正しい知識を提供する。
カジノゲームごとに、カジノ側が何パーセント有利なようにゲームが設計されているかなど数式を交えて真面目に情報提供していてる。「カジノのゲームはお金を使って遊ぶものであり、あなたはお金儲けはできないのです」ということを説いているという印象。
ラスベガスのMGMで見た「ゲームセンス」はクイズ形式でとっつきやすいものだったが、マカオのこれにはそういうユーモアは感じなかった。


右側のラックには各種相談機関の連絡先や白書『report on responsible gambling promotions 2016 』などがあり自由に閲覧できる。

しかもこのブースがスゴイのは、日に何時間かカウンセラーが待機していてその場で相談に乗ってくれるという。

当方の勉強不足ということですが、こんなに仕組みができているとは思いもしなかった。ラスベガスよりずっと進んでると思う。MGMがゲームセンスを設置したのは昨年の秋頃だったと思うし、そのゲームセンスはmade in Las Vegas ではなく、カナダの会社のもの。

ただし、シンガポールと違ってマカオでは入場時の身元確認がないため、セルフエクスクロージョンにせよ第三者エクスクロージョンにせよ、うまく機能しているかは疑問。


このレスポンシブルゲーミング・インフォメーション・キオスクには、模擬ゲームが内蔵されていて、その遊び方(賭け方)のスタイルを分析して注意を促すという機能もあります。
その結果は、大判のレシートみたいな感熱紙で出てきます。

この端末の最初の画面で、ツーリストか住民かを尋ねられます。つまり、ツーリストに提供する情報と住民に提供する情報が異なるのです。
政府としては、マスフロアに来る少額で遊ぶ<マカオ住民>が問題あるギャンブリング行動に陥ってないかが心配であり、また彼らにゲーミングには危険な側面もあると伝えて節度ある遊び方をしてもらいたいのです。


田中 剛(Tsuyoshi Tanaka)/ Amusement Japan 編集部 EDITOR

2018年5月12日土曜日

マカオ コタイ地区の変貌

コタイ地区の変貌に驚いてます。知識として知っていても、この目で見るとやはり衝撃ですね。これだけのホテル客室があり、カジノがあり、まだ開発の途中だという。
前回自分が取材に来たときはベネシアンしかできてなかったんですよね。

見渡す限り更地だったところや、「あの丘のあたりから撮影したなー」というところに要塞みたいな巨大な建物ができていて。


もちろん、この数年の間にマカオに来る機会もあったんですが、そのときは部下に行かせたんです。「カジノの取材経験や知識が自分に集中するのは良くないから、彼を行かせたい」と提言して。


こんなに開発された街を見ると、日本の進みがいかに遅いか、いやでも考えさせられます。なんでこんなに遅いんでしょうね。



マカオ大学の新キャンパス(3年前に移転)もすごいく立派!
移転によって規模が3倍くらいになりました。これは、「これからどんどん学生を集めて人材を輩出していくぞ!」という、マカオ唯一の国立大学の決意表明ですね。

竣工式だか開校式に習近平国家主席がお見えになったそうです。考えようによっては、「たかが特別行政区の公立大学の移転」です。そこに国家主席が来た。この大学が中国にとっても重要な戦略拠点になることを示唆しています。
 



事前に地図を見ていて気づいたのですが、国立マカオ大学のキャンパスがあるのはマカオのコタイ地区ではなく、対岸の中国側(ジュハイと呼ばれている)。
要するに中国がマカオ特別行政区に土地を貸してる。つまり、中国政府はこのようにして、マカオ特別行政区の範囲を広げることができるわけだ。
ということは...、コタイ地区に土地がなくなれば、"マカオ特別行政区に土地を貸している"という名目で、中国側に特区を広げることができる。
どういうことかというと、中国側でのビーチリゾート開発やさらなるカジノリゾート開発もあり得る!


マカオ大学工商管理学院内のゲーミング・ラボにあるトレーニング室。
ディーラー養成所ではありません。ディーラーを「管理」する幹部の養成所です。サベーランスルームもあります。



イギリスの高等教育専門誌「THE(Times Higher Education)」が昨年発表した「THE世界大学ランキング」では、81カ国1102校の順位を発表しています。
アジアの中では
1位 シンガポール国立大学/National University of Singapore(世界22位)
2位 北京大学/Peking University(世界27位)
3位 清華大学/Tsinghua University(世界30位)
4位 香港大学/University of Hong Kong(世界40位)
5位 香港科技大学/Hong Kong University of Science and Technology(世界44位)
日本が誇る東京大学はこの次。

マカオ唯一の公立大学(実質的には中国の国立大学)であるマカオ大学/University of Macauは、世界351位という位置。同位の日本の大学はと言うと、九州大学です。マカオ大学のすぐ下には、北海道大学、東京医科歯科大学(TMDU)、筑波大学がつけています。
ホスピタリティ&レジャー・マネジメント領域に限ると、マカオ大学のランキングは世界46位、アジア9位なんです。スゴイ!!