ある本を読んでいたら、ビジネスマンは、「どういう会社に勤めていようと、どういう部署で働いていようと、地位や肩書に関係なく、この8つの分野をすべて心得ておく必要がある」として、<8つの帽子>が紹介されていました。
8つの帽子とは、マーケティング帽/商品開発帽/業務管理帽/顧客サービス帽/販売帽/情報管理帽/時間管理帽のこと。
この<8つの帽子>を提唱しているコンサルタントの名前が、ウィリアム・ブリッジズ。
ウィリアム・ブリッジズ?
William Bridgesのこと?
「トランジション理論」のブリッジズ?
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キャリア開発理論の中で押さえておくべき理論のひとつである「トランジション」は、日本語では「過渡期」と訳されます。
ウィリアム・ブリッジズは、トランジションには3つの段階があると説いています。
第1段階……何かが終わる
第2段階……ニュートラルゾーン
第3段階……何かが始まる
「終わり」は始まりなのですが、やっかいなことに、その間に「ニュートラルゾーン」があります。そこで人は喪失感を味わいます。
コンサルタントであるブリッジスは、その時期をどう過ごすかを、こうアドバイスしています。
1.1人になれる特定の時間と場所を確保する
2.ニュートラルゾーンの体験の記録を付ける
3.自叙伝を書くために、ひと休みする
4.この機会に、本当にやりたいことを見いだす
5.もしいま死んだら、心残りは何かを考える
6.数日間、あなたなりの通過儀礼を体験する
要するに自分と向き合う貴重な時間にしよう、ということですね。
1994年に『Transitions』(トランジション)の日本語訳が出版されていますが現在は絶版。Amazonマーケットプレイスでは中古が7,674円で出品されています。ちょっと、手を出せません...。
英語のKindle版『Transitions: Making Sense Of Life's Changes』は925円。う~ん、理解する自信ないけど、925円なら、無駄にしてもいいかな...。
ちなみにウィリアム・ブリッジスは、心理学者ですが、コンサルタント・経営者として活躍されてます。
http://www.wmbridges.com/
<8つの帽子>は著書『Creating You & Co.: Learn to Think Like the CEO of Your Own Career』(自分という名の企業を創れ)の中で紹介されています。
2013年8月29日木曜日
2013年8月25日日曜日
「人と職業の適合」について考える
気がつけばなんと、8月の投稿がゼロ。
これはいくらんなでもマズイ。
友人の息子さんから頼まれごとをしました。夏休みの課題で、大人に仕事についてインタビューするというもので、「仕事のやりがいを教えて下さい」とか、「その仕事に必要な資質・適性を教えてください」とか、「“働く”とはどういうことだと思いますか?」とか、けっこう深い質問がならんでます。
これは立派なキャリア教育ですね! よいプログラムだと思います。
働いている人に、こういうインタビューなりアンケートなりをして、「人と職業の適合」について考えることは、彼ら(高校生)自身の職業選択の際の大きなヒントになるでしょう。
ということで、キャリア開発ネタを。
冒頭の話と関連付けるのであれば、まずは、パーソンズ(Frank Parsons)ですね。パーソンズの著書『職業の選択』が出版されたのは1909年です。
彼は、「ボストン市民サービス館」での活動で、定職に就くまでに多数の転職を繰り返している若者たちに接し、若者に必要なのは、職業訓練よりも、職業選択の指導だと気づいたのです。
すぐに辞めてしまう、辞めさせられてしまうのは、技能不足だけの問題ではなく、場当たり的な職探しが原因だと考えたのです。
彼はこう考えたのです。
そこで彼は、1908年にボストン職業相談所を開設。これが、職業ガインダンスを体系的に実施する、初めての施設でした。そして、パーソンズの考え方が、後のキャリア選択とキャリア発達理論の核となったのです。
キャリアコンサルティング(キャリアカウンセリング)を学ぶテキストが、丁寧なものでしたら、巻末には用語索引のほかに、人名索引がありますね。パーソンズの名前は、前のほうに登場するはずです。
キャリアカウンセリング協会(CCA)で使われていたテキストの人名索引を見ると、キャリア・デベロップメントの関する理論・モデルの提唱者(主として心理学者)の、誰が何頁に登場しているかわかります。
パーソンズの考え方は、現代に受け継がれているキャリア選択の理論の核ですが、最も多くの箇所に登場しているのは、「ライフ・ステージ論」「ライフ・キャリア・レインボー」で知られる大御所ドナルド・スーパーです。
その理論については、また別の機会に。
では、2番目に多くの箇所に名前が登場しているのは誰だと思います?
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エドガー・シャイン教授です!
理論・モデルとしては、「キャリア・サイクル・モデル」「8つのキャリア・アンカー」「組織の3次元モデル」が紹介されています。
心理学の分野で活躍されている理論家は、スーパー、ギンズバーグなどコロンビア大学勢が多いように思います。「白熱教室」で知られるアイエンガー教授もコロンビア大学。
そして、スタンフォード大学勢としては、社会的学習論のバンデューラ教授、クランボルツ教授など。
で、シャイン教授ですが、MITの教授です。テキストにも書いてありますが、「組織で働く人をおもな対象」としています。そのせいか、「組織人事マネジメント」の分野では、シャイン教授の研究はよく引用されるようです。
ちなみに、自分がK.I.T.虎ノ門大学院で「組織人事マネジメント」を学んだときは、講義の中で最も登場頻度が多かったキャリア・デベロップメント理論は、エドガー・シャイン教授の「キャリア・アンカー」と「キャリア・サバイバル」でした。
ビジネススクールらしいなと思いました。
これはいくらんなでもマズイ。
友人の息子さんから頼まれごとをしました。夏休みの課題で、大人に仕事についてインタビューするというもので、「仕事のやりがいを教えて下さい」とか、「その仕事に必要な資質・適性を教えてください」とか、「“働く”とはどういうことだと思いますか?」とか、けっこう深い質問がならんでます。
これは立派なキャリア教育ですね! よいプログラムだと思います。
働いている人に、こういうインタビューなりアンケートなりをして、「人と職業の適合」について考えることは、彼ら(高校生)自身の職業選択の際の大きなヒントになるでしょう。
ということで、キャリア開発ネタを。
冒頭の話と関連付けるのであれば、まずは、パーソンズ(Frank Parsons)ですね。パーソンズの著書『職業の選択』が出版されたのは1909年です。
彼は、「ボストン市民サービス館」での活動で、定職に就くまでに多数の転職を繰り返している若者たちに接し、若者に必要なのは、職業訓練よりも、職業選択の指導だと気づいたのです。
すぐに辞めてしまう、辞めさせられてしまうのは、技能不足だけの問題ではなく、場当たり的な職探しが原因だと考えたのです。
彼はこう考えたのです。
① 安易に働き口としての仕事につくのではなく、自分にふさわしい職業を選択するのが望ましい。
② 職業を選択する際は必ず、自分を偽らずに慎重に自己分析し、かつ指導をうけること。
③ 若い人は幅広く多くの職業分野を調べ、就きやすい職や偶然見つけた職で妥協しないこと。
④ 若い人は、人、職業、そして成功の条件などについてよく研究している専門家の助言を受けることが、安全で望ましい。
⑤ 自己分析は紙に書き記すことが必要である。
そこで彼は、1908年にボストン職業相談所を開設。これが、職業ガインダンスを体系的に実施する、初めての施設でした。そして、パーソンズの考え方が、後のキャリア選択とキャリア発達理論の核となったのです。
キャリアコンサルティング(キャリアカウンセリング)を学ぶテキストが、丁寧なものでしたら、巻末には用語索引のほかに、人名索引がありますね。パーソンズの名前は、前のほうに登場するはずです。
キャリアカウンセリング協会(CCA)で使われていたテキストの人名索引を見ると、キャリア・デベロップメントの関する理論・モデルの提唱者(主として心理学者)の、誰が何頁に登場しているかわかります。
パーソンズの考え方は、現代に受け継がれているキャリア選択の理論の核ですが、最も多くの箇所に登場しているのは、「ライフ・ステージ論」「ライフ・キャリア・レインボー」で知られる大御所ドナルド・スーパーです。
その理論については、また別の機会に。
では、2番目に多くの箇所に名前が登場しているのは誰だと思います?
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エドガー・シャイン教授です!
理論・モデルとしては、「キャリア・サイクル・モデル」「8つのキャリア・アンカー」「組織の3次元モデル」が紹介されています。
心理学の分野で活躍されている理論家は、スーパー、ギンズバーグなどコロンビア大学勢が多いように思います。「白熱教室」で知られるアイエンガー教授もコロンビア大学。
そして、スタンフォード大学勢としては、社会的学習論のバンデューラ教授、クランボルツ教授など。
で、シャイン教授ですが、MITの教授です。テキストにも書いてありますが、「組織で働く人をおもな対象」としています。そのせいか、「組織人事マネジメント」の分野では、シャイン教授の研究はよく引用されるようです。
ちなみに、自分がK.I.T.虎ノ門大学院で「組織人事マネジメント」を学んだときは、講義の中で最も登場頻度が多かったキャリア・デベロップメント理論は、エドガー・シャイン教授の「キャリア・アンカー」と「キャリア・サバイバル」でした。
ビジネススクールらしいなと思いました。
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