社内研修の一環で「接客の向上は必要か不要か」をテーマに、ディベート大会」が行われることになっていて、その方は肯定側(接客向上は必要)チームで、論理構成をするために助言がほしいというのです。
その会社のホールスタッフのレベルは業界の平均的な水準を超えています。そんなこともあり、「これ以上の接客レベルの向上は必要」という肯定側は、このディベートにおいては不利な状況だというのです。
社内ディベート大会、とてもユニークな取り組みだと感心しつつ、思いついたいくつかのデータをお送りするとともに、ハーズバーグの「動機づけ要因-衛生要因理論」もご紹介させていただきました。
ディベートがどんな結果になったのかは、守秘義務の関係上、ここには書きません(笑)。
さて、「パチンコ・パチスロファンの接客に対する意識」を調査したデータには、こんなものもあります。以前、アミューズメントジャパンで記事にするために実施したもので、調査は18歳~59歳の男性パチンコ・パチスロプレイヤー104人にから回答を得たものです。
記事を探すのは手間だったので、 元の調査データから、ささっと集計しなおしました。
結論めいたことを先に書きますと、以下の通りです。
「接客態度がいい」とは何か?
それは、
スピードがあり、礼儀正しく&丁寧であること。
[実施概要]マクロミルのインターネット・アンケートモニターからパチンコ・パチスロプレイヤーを抽出し、パチンコのみプレイヤー50人、パチスロのみプレイヤー20人、PS両方プレイヤー30人を割り付けて2011年1月に調査を実施。有効回答数それぞれ52人、21人、31人。
この調査では、「パチンコホール・スタッフの接客態度・サービスとして、あなたが望むものを3つまでお選びください」という質問をしています。提示した選択肢は下記の12。
1 元気である
2 そっとしておいてくれる
3 楽しそうに働いている
4 一生懸命働いている
5 会話や雑談に応じてくれる
6 礼儀正しく丁寧である
7 正確である
8 気さくな感じでフレンドリー
9 ホテルのような高級感がある
10 スピード感がある
11 その他
12 とくにない
これに続いて、「あなたはホールスタッフとコミュニケーション(会話など)を取りたいですか?」と尋ね、「とりたい~その時々~とりたくない」の5段階スケールから回答してしもらいました。
コミュニケーションの意向に対する回答者の割合は以下の通り。
◇「とりたい」+「どちらかというと~」……21.1%
◇「その時々」………………………………45.2%
◇「とりたくない」+「どちらかというと~」……33.6%
各グループの意向の違いをレーダーチャートで表してみます〔下図〕。
この2つの質問をクロスさせ、上記それぞれのグループが、ホールのスタッフに対してどのような接客態度・サービスを望んでいるのかを分析してみました。
すると、下記の項目が上位になりました。
「コミュニケーションをとりたい」+「どちらかというと~」グループが望む接客態度は、
(1)元気である
(2)礼儀正しく丁寧である
(3)スピード感がある
「その時々」グループが望む接客態度は、
(1)礼儀正しく丁寧である
(2)スピード感がある
(3)一生懸命働いている
「コミュニケーションをとりたくない」+「どちらかというと~」グループが望む接客態度は、
(1)スピード感がある
(2)礼儀正しく丁寧である
(3)一生懸命働いている
いずれのグループも共通して「礼儀正しさ」「スピード感」を求める割合が高い。
一方で、「ホテルのような高級感」や「気さくな感じでフレンドリー」はほとんど求めていない。
コミュニケーション意向のあるプレイヤーにおいても、「気さくな感じでフレンドリー」「会話や雑談に応じてくれる」の回答率は低く、「そっとしておいてくれる」の回答率のほうが高い。
これらのことから考えるべきは、プレイヤーの考えている「コミュニケーション」とは何かということ。
コミュニケーションとは、意思疎通のことです。来店客が求めているのは、「自分の意志を伝えたい、自分の意志を受け止めてもらいたい」ということなのではないか。そうだとしたら、その要望に応えるには、積極的なお店都合の声掛けよりも、お客の<意思を伝えたいというそぶり>に気づく力を向上させることが重要だと言えそうです。
文=田中 剛(アミューズメントジャパン元編集長)
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