2015年3月15日日曜日

メンタルヘルス対策 ~上司や同僚の支援

仕事のストレスの原因となる可能性がある要因中で特にメンタルヘルスと関連が深いものは、「仕事の要求度(仕事の負荷、責任など)」と「仕事上の裁量権や自由度」と「職場における上司や同僚の支援(職場の人間関係)」です。

旧労働省をはじめさまざまな研究から、「仕事の要求度」の高さに対して「裁量権や自由度」が低い職場環境は健康リスクが高いことがわかっています。研究職のような要求度が高い困難な課題に臨んでいる職業の人に、メンタルヘルス疾患が突出して多くない理由は、「裁量権や自由度」が大きいからだと考えられています。
「仕事の要求度」の高さに対して「裁量権や自由度」が低い職場環境に、「上司や同僚の支援」が低いという状況が加わると、メンタルヘルスによる問題が顕在化してくる可能性が高まります。

個人のストレスを弱めることにつながる上司や同僚による支援(ソーシャルサポート)は4つに分類することができます。

1つめは、ヤル気を起こさせ情緒的に安定させることを目的としたサポート。声掛けや励まし、笑顔での対応などです。

2つめは、悩みや困難といった問題の解決に役立つ情報を与えるサポート。研修の実施や専門家を紹介することもこれにあたります。

3つめは、問題の解決を直接的に手助けするサポートで、多量の仕事の一部を手伝う、効率を上げる機械を導入するなどです。

4つめは、仕事ぶりや業績などを適切に評価するというサポート。困難に直面していても、自分の行ったことや努力を周囲から認められれば、人は自己評価が高まり心理的に安定するからです。

つまり、部下をサポートする立場にある店長職にある人は、基本的に情緒的なサポートを行いつつ、問題解決に必要な情報や知識の提供、直接的な仕事の手助けをして、そのプロセスや結果において適切な評価のフィードバックに努めることが必要ということです。ただし、いつでもどこでも即座にサポートを提供することが好ましいというわけではありません。そのような過剰なサポートは、部下や同僚の問題解決に対する主体性を奪いかねません。
サポートにおいても、従業員個々の仕事上の適正を考慮する必要があることが、メンタルヘルス対策の難しさです。

なお、上の1から4は、専門的な言葉では、「情緒的サポート」「情報的サポート」「道具的サポート」「評価的サポート」と呼ばれます。

2015年3月11日水曜日

メンタルヘルス対策 ~まずは無料の行政サービスの活用を!

メンタルヘルス対策の充実・強化等を目的として、従業員数50人以上の全ての事業場にストレスチェックの実施を義務付ける「労働安全衛生法の一部を改正する法案(通称:ストレスチェック義務化法案)」が2014年6月19日に国会で可決・成立しました。このストレスチェックと面接指導の実施の施行期日は2015年12月1日と定めらています。
パチンコホールなど店舗ビジネスを展開している企業にとってのポイントは、近年の大型化した店舗の多くが、この対象事業所となることです。労働安全衛生法でいう「従業員」とは、パート・アルバイトを含むからです。50人未満の事業所は、当面、努力義務となっています。しかし、メンタルヘルス対策は、規模に関わらず着手すべきテーマです。
とはいえ、近年急激に大型化したこともあり、従業員数50人未満の事業場では、事業場内産業保健スタッフがいない場合がほとんどで、「メンタルヘルス推進担当者」も決まっていないでしょう。社内に専門的な知識を持つ人がいないのであれば、「地域産業保健センター」等の外部機関を積極的に活用することが、一つの有効な方法です。
「地域産業保健センター」は全国の労働基準監督署管轄区域ごとに設置されており、東京都では18カ所あります。おもに労働者数50人未満の事業場を対象に、原則として無料で、相談などへの対応や医師による訪問指導といった支援をしています。事業主からの相談内容や要望に応じて、産業保健総合支援センター(都道府県ごとに設置されている)と連携し、専門スタッフが事業場を訪問し、メンタルヘルス対策、作業環境管理、作業管理等状況に即した労働衛生管理の総合的な助言・指導をしてくれます。
メンタルヘルス対策の体制作りなど、どこから手を付けていいか悩んでいるのであれば、相談してみるといいと思います。