仕事のストレスの原因となる可能性がある要因中で特にメンタルヘルスと関連が深いものは、「仕事の要求度(仕事の負荷、責任など)」と「仕事上の裁量権や自由度」と「職場における上司や同僚の支援(職場の人間関係)」です。
旧労働省をはじめさまざまな研究から、「仕事の要求度」の高さに対して「裁量権や自由度」が低い職場環境は健康リスクが高いことがわかっています。研究職のような要求度が高い困難な課題に臨んでいる職業の人に、メンタルヘルス疾患が突出して多くない理由は、「裁量権や自由度」が大きいからだと考えられています。
「仕事の要求度」の高さに対して「裁量権や自由度」が低い職場環境に、「上司や同僚の支援」が低いという状況が加わると、メンタルヘルスによる問題が顕在化してくる可能性が高まります。
個人のストレスを弱めることにつながる上司や同僚による支援(ソーシャルサポート)は4つに分類することができます。
1つめは、ヤル気を起こさせ情緒的に安定させることを目的としたサポート。声掛けや励まし、笑顔での対応などです。
2つめは、悩みや困難といった問題の解決に役立つ情報を与えるサポート。研修の実施や専門家を紹介することもこれにあたります。
3つめは、問題の解決を直接的に手助けするサポートで、多量の仕事の一部を手伝う、効率を上げる機械を導入するなどです。
4つめは、仕事ぶりや業績などを適切に評価するというサポート。困難に直面していても、自分の行ったことや努力を周囲から認められれば、人は自己評価が高まり心理的に安定するからです。
つまり、部下をサポートする立場にある店長職にある人は、基本的に情緒的なサポートを行いつつ、問題解決に必要な情報や知識の提供、直接的な仕事の手助けをして、そのプロセスや結果において適切な評価のフィードバックに努めることが必要ということです。ただし、いつでもどこでも即座にサポートを提供することが好ましいというわけではありません。そのような過剰なサポートは、部下や同僚の問題解決に対する主体性を奪いかねません。
サポートにおいても、従業員個々の仕事上の適正を考慮する必要があることが、メンタルヘルス対策の難しさです。
なお、上の1から4は、専門的な言葉では、「情緒的サポート」「情報的サポート」「道具的サポート」「評価的サポート」と呼ばれます。
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