2016年6月26日日曜日

#ドーパミンは「幸福感」をもたらさない。

“ドーパミンは「幸福感」をもたらさない。”

いままでドーパミンについては、漠然と「興奮しているときに放出されている神経伝達物質」くらいにしか考えていませんでした。しかしこれ、奥深いですね。

・脳のある領域を刺激すると、ますますその刺激がほしくなる。
・そのとき脳内ではドーパミンが放出されている。
・ドーパミン放出効果によって、「満足」や「喜び」などは感じられない。


オールズ&ルミナーによるラットの実験で得られた仮説を、多くの神経学者が実験によって検証した。では、ドーパミン放出によって、ラットやヒトが得ているものは何なのか?

2001年にブライアン・クヌットソン(スタンフォード大)が出した結論は、ドーパミンがもらたすものは「報酬の予感」でした。

“ドーパミンには報酬を期待させる作用があるが、報酬を得たという実感はもたらさない。”

実験のラットが、疲れて動けなくなるまで電気刺激を求めて5秒おきにレバーを押し続けたのは、決して「満足」を得ることがなかったからなのです。

「報酬の予感」は行動を促進します。ラットであれ人であれ、「それを得るためならなんでもしよう」という気にさせます。

しかし、満足を得ることはない。だから、 やめられない。



これはマーケティング上も非常に重要なことだと思います。

パチンコホールの集客が低下傾向にあるのはなぜか? 色々な理由があるででしょうが、もっともインパクトが大きい要因は、ボクは「報酬の予感」の減少だと思います。言うまでもありませんが、かつてのような直截的な表現で「射幸心をそそる」ことはNGですが、パチンコという遊びの本質を考えれば、遊びによって得られる報酬の予感の伝達を諦めるべきでないと思います。

そのためには、遊技機の研究以上に人間を研究する必要がありますね。

2016年6月25日土曜日

#キャリアにかかわる課題解決

“貴殿におかれましては、働く個人、ひいては社会全体が直面するキャリアに関わる課題解決に寄与する専門家として社会から期待される存在となります。”
って、届いた書類に書いてある。

大袈裟だ。

と思うと同時に、「エディターという仕事の中の何割かは、そういう気持ちでやってるよな」とも思う。ボクらが作っている記事の大半は中間管理職の方々に向けているものだから。

部門長としての仕事の中でも、何割かはそういう気持ちでやっている。もちろん、個人の思惑と組織の思惑が対立する場面もあって、そんなときは「組織のためにやってくれ」と言うことも多々あるけれど。

しかし、不思議な気分だ。
資格がほしくてキャリア開発支援の理論や技術を学んだわけではなかったのに、修了した資格(GCDF)が格上げ(?)になり、 国家資格になった。

自分が持っているから言うわけではないが、ちょっとした人数の会社であれば、人事部門に一人はキャリアコンサルタントがいるほうがいいと思う。
[追記]
余談ではあるけれど、ボクは「キャリアコンサルタント」という呼称をかねてから「しっくりこないな~」と思っていた。「キャリアアドバイザー」という表現はなおさら。「アドバイザー」という言葉にはかなり“指示的”な響きがあり、少なくともロジャース派の考えをベースにする人なら違和感を覚えるはず。
ではボクにとって何がしっくりくるかというと、本人(相談者)が自分で気づき自分で意思決定するサポートする・促進するという意味合いにもっとも近い“ファシリテーション”ですね。
GCDFはアメリカで開発されたプログラムで、1997年の発足当初は「G」(Global)がなく「CDF」でした。CDFは何の略かというと、Career Development Facilitator(キャリア・デベロップメント・ファシリテーター)の略なんです。



2016年6月4日土曜日

#2人に1人が癌になる。では30歳の人が60歳までに癌になる確率は?

「2人に1人が癌になる時代」と言われるそうですが、これは四捨五入された数字なので、もう少し正確に言うと、「男性の1.6人に1人が生涯でがんに罹患する」「女性の2.2人に1人が生涯でがんに罹患する」ということ。

表現を変えると、生涯でがんに罹患する確率は、男性62%、女性は46%です。

がんは年齢が上がるほど罹患率が増える病気で、長寿社会になればなるほど罹患率が高まります。

罹患者が増え始めるのは男性の場合、40代後半から。
増え始めると言ってもごくわずかで、現在30歳の男性が50歳までにがんと診断される確率はわずか2%。60歳までだと7%に上がり、70歳までだと21%、80歳までだと42%になります。


保険は、万一のことに対して、自分の蓄えで備えきれない部分を補うものだと思うのです。
そもそも、「保険をかけておこう」というのは、そういう意味ですよね?

医療保険を検討するときには、「2人に1人が癌になる」というざっくりした数字ではなく、30代の方であれば、「30歳の自分が60歳までにがんになる確率は7%」という数字をもとに考えるべきだと思います。

「でも、自分は7%に該当するかもしれない。その時の出費に備えて保険に入ろう」
かもしれませんし、
「60歳までにガンになる確率は低いが、それ以降は心配だ。でも60歳のときにはガン治療費くらいの貯蓄はできてるだろう」
かもしれません。


「万に一つ」に備えるのが保険だと思うので、ボク個人の考え方を言えば、それが心配な方は、安心料として保険に入るのがよいと思います。さほど心配でないなら、入らなければよい。

ただし、がんに関していえば、70歳までに罹患する確率は21%で、「万に一つ」とは言いにくい確率に上がります。80歳までだと42%ですから、罹患してもまったく不思議でない。

「だから、備えておかなきゃ!」ということですよね。

しかしですね、このように 「かなり起こりうる」ということに対して、<保険>で備えるのが本当に合理的なのでしょうか?  

そもそもの<保険>というものの利用の仕方の趣旨に反しているような気もするのです...。

保険は「安心」を提供している商品ですから、何が正解かは人それぞれです。 ですが、家計に関する不安の種は癌だけではないはずなので、バランスが必要となります。




文=田中 剛
エディター/月刊アミューズメントジャパン元編集長
キャリアコンサルタント/GCFD-Japan(CCE, Inc)
 ファイナンシャル・プランニング技能士2級/AFP(日本FP協会)