そんな白書を眺めていてふと不思議に思ったことがありました。というか、すぐに「もしや...」と思い当たることはありましたが。
各産業の市場規模をレポートしている章では、遊技産業を「パチンコ・パチスロ」市場と表現しています。2015年の市場規模は23兆2290億円。これは日本生産性本部が、各種の資料をもとに推計しているもので、推計の根拠のかなりの部分がDK-SISであることは、業界にかかわる方ならご存知でしょう。
問題は、日本生産性本部が市場調査会社に依頼し独自に実施している「参加実態調査」の部分。調査対象者に108種目のレジャーを提示し、「過去1年間に1回以上参加した(遊んだ)ことがあるもの」を答えてもらう調査です。
この、生活者の余暇活動をレポートしている章では、「パチンコ」について参加率を10.6%としています。「過去1年間に1回以上パチンコを遊んだことがある」という人の割合です。
お気づきですか?
産業の市場規模をレポートする章では「パチンコ・パチスロ」と表記し、生活者の余暇活動をレポートする章では「パチンコ」と表記。なぜ違うのか?
なぜかというと、生活者に対して実施しているアンケート調査の質問票のワーディング(文言)が「パチンコ」となっているからです。※日本生産性本部に問い合わせて確認しました。
さて、「自分はパチスロしかやらない」という人はどう回答するでしょう? パチスロしかやらない人が、「この中から過去1年間に遊んだことがあるものを選んでください」と合計108種目ものレジャーを提示されたとき、「パチンコ」を選ぶでしょうか?
もしかしたら、気を利かせて「パチスロもパチンコと似たようなものだから、遊んだものとしてパチンコを選んでおこう」と考えるかもしれません。
でも、パチスロとパチンコは別ものですから、「自分はパチンコはやっていない」とスルーするかもしれません。むしろ、実際には遊んでいないパチンコを「遊んだ」と答える人のほうが少数だと思うのです。
パチスロ人気時には分母が小さくなる
こう考えると、過去のパチンコ参加人口の減少の推移の見方も変わってきます。これまで、市場規模の減少率よりも、パチンコ参加人口の減少率が多い現象を、「ヘビーユーザー化」「ヘビーユーザー依存度が高まった」と解釈してきました。ユーザー1人の売上貢献度合いが大きくなったということですから。
そういう面も、当然、あったでしょう。
しかし、繰り返しますが...、
- 市場規模はパチンコ・パチスロの総売上の推計値。
- 参加人口はパチンコユーザー(PS両方ユーザーを含む)数で、パチスロのみユーザーは除外されている。
しかし、同じワーディングで長年やってきたので、いまさら変更されると連続性が途切れてしまいますから、従来通りのワーディングで続けていただきたいものです。
[補足]
このエントリーの趣旨から外れるので上記には書きませんでしたが、「レジャー白書」を見る際には調査対象者が「15歳以上」という点も留意する必要があります。白書の中の図表には「10代」と書かれていていますが、正確には15歳~19歳を指しています。ですから10代男性のパチンコ参加率は6.1%と書いてあっても、15歳~19歳男性の~と読み替える必要があります。パチンコは18歳未満は遊ぶことができません。
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