政府が推進する「働き改革」の具体的な3つの課題は、「高齢者の就労促進」「非正規と正社員の格差是正」、そして「長時間労働の改善」だ。日本の長時間労働については、2013年に国連から「多くの労働者が長時間労働に従事している」と指摘され、是正勧告を受けている。国際的に見ると、日本の長時間労働は深刻な水準なのだ。
市場調査会社マクロミルが9月にインターネット調査モニターから都内に勤務する20代から50代の男女フルタイム正社員を抽出して実施した調査によると、過去3カ月間を平均した1日の総労働時間は平均8・9時間。1日の総労働時間の平均が10時間以上の人は16%、11時間以上の人は6・6%、12時間以上の人は1・3%いる。
労働基準法の原則は、1日8時間、1週間40時間で、これを超えた労働を法定時間外労働という。時間外労働が月45時間を超えると睡眠時間が短くなり、脳血管系・虚血性心疾患の発症との関連性が現れるとされている。1日の平均労働時間が11時間の場合、月の時間外労働は約70時間。1日の平均労働時間が12時間の場合、月の法定時間外労働は80時間を優に超える。80時間は労働安全衛生法が医師の面接指導の対象にするよう求めている水準だ。
直近1年間の労働時間が1年前と比較して減った人は17・6%、増えた人は17・2%と拮抗していた。
1年前と比較して労働時間が減った人は、その分の時間を何に充てているか。マクロミルの調査によると、最も多い時間の使い方は「自宅でのんびり過ごす」(67・6%)、次いで「家族や恋人・パートナーと過ごす」(34・1%)、「睡眠」(28・4%)、「自宅での食事」(27・3%)と続いた(複数回答)。
労働時間を今よりも増やしたいと考えている人は8%。減らしたいと考えている人が43・4%だった。減らしたい理由としては、「自分の時間を充実させたい」「仕事とプライベートのバランス」「加齢による体力低下のため」などが挙げられている。
回答者の65・8%は、勤め先に何らかの労働時間軽減の取り組みがある。最も多く挙げられた取り組みは「ノー残業デーの導入」で37・2%。次いで「残業時間の上限設定」(29・2%)、「残業の事前申請」(24・8%)など(図)。実施企業は少ないが、「就業時間になったら自動消灯される」や「時間になるとパソコンが使えなくなる」といった強制的に業務を終了させる施策もあった。今年2月から経済産業省と経団連が呼び掛けているプレミアムフライデーの実施企業はわずか1割だった。
田中 剛・アミューズメントジャパン編集部
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