2016年5月29日日曜日

#必ずうまくいく仕事の進め方

トヨタの現場はすごい、と言われます。技術の高さ、製品の品質の高さは、世界で評価されています。しかし、ホワイトカラーについてはどうか。

トヨタ自動車(株)相談役・技監の佐々木眞一氏は、「トヨタのホワイトカラーの仕事がすごいとは、誰も言ってくれません」と言います。

佐々木相談役は2004年からベルギーにあるヨーロッパの現地法人で社長を務めました。そこで、ホワイトカラーの仕事の速さ、意思決定の速さ、変化への対応力の高さを実感したそうです。

日本に戻って、あらためてびっくりしました。旧態依然の根回し、擦り合わせ、調整会議、手直しにやり直し……。たしかに丁寧で品質は高くなっていくかもしれないけれど、このスピード感では海外で負ける、と思いました。

もう現場の強みだけでは、勝負ができなくなったと感じた佐々木相談役(当時はヨーロッパ法人の社長)は、ホワイトカラーの生産性を高めるために、かつて工場で大きな成果を上げた不良品率低減の取り組みを導入することを提案します。

そして2007年1月、工場で行われていた<自工程完結>と呼ばれている取り組みを、スタッフ部門に導入することが決まったのです。


『現場からオフィスまで、全社で展開する トヨタの自工程完結』(著=佐々木眞一、ダイヤモンド社)は、トヨタの現役幹部が、ホワイトカラーの生産性向上のために全社をあげて取り組んできた仕事の進め方を解説した本です。


工場の定型的な仕事において成果を上げた進め方といっても、それをホワイトカラーの仕事に当てはめられるのか、という疑問に対して、佐々木相談役は、「すべての仕事に、必ずうまくいく仕事の進め方(=工程)はある」と言います。

では、ホワイトカラーの仕事の<工程>とは何か。それは、<意思決定>です。

資料作りであれ、企画であれ、営業であれ、何らかのアウトプットを出していく途中には、いくつもの「意思決定」が存在しています。「意思決定」が積み重なって、最終的なアウトプットは出てきている。
この「意思決定」の一つひとつこそ、現場でいうところの「工程」です。

では、正しい「意思決定」をするためには何が必要なのか。佐々木相談役は6つのポイントを挙げています。

1.目的・ゴールをきちんと設定し、常に意識しておく。
2.最終的なアウトプットイメージを明確に描く。
3.プロセス/手順をしっかり考え書き出す。
4.次の「プロセス/手順」に進んでよいかを判断する基準を決める。
5.正しい結果を導き出すために「必要なもの」を抜け・漏れなく挙げる。
6.仕事を振り返り、得られた知見を伝承する。

2つ目までなら、「やってるよ」という方が大半だと思います。しかし、3つ目や4つ目のような精緻なダンドリを共有しているホワイトカラー組織は、そうそうないと思います。

佐々木相談役は、
全体を見渡したり、やることを洗い出したり、どの順番でやるべきかを考えたりせずに、いきなり「とりあえず」やってしまうというのが、最も失敗を呼び込みやすい仕事のやり方。

と言っています。

仕事がどのような「プロセス/手順」によって構成されているかを意識する、分解することは、やはり大事なんだと再認識しました。

そもそも佐々木相談役の危機感はホワイトカラーのスピードの遅さ、生産性の低さ。それでスタートした取り組みですから、こういう精緻な仕事の進め方が、結果的に生産性を高めるということです。


まだ読みかけで半分あたりですが、読み進めるのが楽しみです。



『現場からオフィスまで、全社で展開する トヨタの自工程完結』(著=佐々木眞一、ダイヤモンド社)


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