2016年10月14日金曜日

#不登校の子どもを支援する奨学金制度創設

内閣府は2013年に、15歳から39歳のうち、引きこもっている人は全国でおよそ70万人と推計しました。全国各地の民生委員の報告で「無業者」とカウントされている40歳以上の人も含めれば、引きこもりはゆうに100万人を超えるという専門家もいます。15歳未満の不登校児童・生徒はこの推計のカウント外ですので、実態はさらに多いのです。
成人で引きこもっている人の半数近くが、小中学校時代に引きこもっていたという調査結果があることから、子どもの時期に<引きこもらなくてもいい環境>を整備することが重要といえます。
小中高生は、何らかの事情で不登校になってしまうと、自宅以外に居場所がないのです。ですから、不登校の子どもが安心して個を尊重される、フリースクールのような居場所の拡充が必要です。

フリースクールに通うには入会金、月会費など家庭の負担が増えます。しかし、小中学校に籍を置く子どもがフリースクールに通うう場合、保護者の負担を軽減する国及び地方自治体からの公費助成制度はないのが実情です。ですから、不登校で家に引きこもっている子どもがフリースクールの入会を希望しても、経済的理由で断念する家庭が少なくないのです。特にシングルの家庭では、子どもが引きこもり精神的に不安定な状態だと、働きに出ることがままならなくなり、貧困に陥りかねません。

三重県では、不登校の子どもが置かれた状況を知った三重県遊技業協同組合が、フリースクール「三重シューレ」(三重県津市)に入会を希望する子どもを対象にした、給付型の奨学金制度を創設しました。特定のフリースクールに通う子どもを対象とした、返済を要しない奨学金制度は全国初。9月27日に三重県庁で記者会見を行った後、大手新聞社やNHKの取材が相次いでいることからも、注目の高さがうかがえます。

三重シューレは2003年に県内初のフリースクールとして開設され、現在は小・中・高生、計21人が県内各地から通っています。三重県遊技業協同組合は、県内で営業しているパチンコ・パチスロホールが業界の健全化と発展を目的に昭和36年8月に県知事から認可を受け設立した団体です。

三重県遊協の権田清理事長は、「不登校の子どもが、学校以外の場で安心して育つことのできる場所・環境を整えることは社会の責任。フリースクールに経済的理由で入会できないことは、社会の緊急の課題であることを痛感している」とコメントしています。

学校が合わない子どもを学校に連れ戻そうという、現在の義務教育機関の考え方は実情に合っていません。不登校の子どもにも、家庭の他に、学校の代わりになる安心できる居場所が必要です。不登校の子どもの3分の1が「いじめ」がきっかけだそうです。そういった子どもたちに給付型奨学金という形の支援が広がることを願っています。

[参考]
▼金のハートの奨学金(給付型)募集のしおり
http://mienoko.com/img_archive/shiori.pdf
▼フリースクールに通うための「金のハートの奨学金」創設
http://www.sanyukyo.jp/news/20160927.html

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