昨年1年間に主要な娯楽系レジャーに参加した(1回以上遊んだ)人の割合は下記の通りでした。
- パチンコ・パチスロ……12.4%
- 中央競馬……9.3%
- 宝くじ・toto……28.5%
- ゲームセンター・ゲームコーナー……16.0%
- ソーシャルゲームなどオンラインゲーム(アイテム購入など有料プレイ経験者)……6.1%
- 海外のカジノ(オンラインを含まない)……0.9%
こうして見ると、いくら市場縮小傾向にあると言っても、パチンコ・パチスロの参加者率は高いですね。やはり全国に9900軒くらいありますので。たとえばボウリング場は全国に386軒(2014年)しかありません。映画館(スクリーン数ではなく施設数)はシネコン化により減少をたどり、現在では、全国に約600施設しかありません。全国の隅々にまで施設がある、すなわち「アクセスがいい」ということは、大きな参加人口を獲得するために必須のようです。
しかし今は、全国に9900軒あるレジャー施設よりもはるかにアクセスがいいレジャーがあります。インターネットを介したレジャーです。中央競馬の売上2兆6884億円のうち、「電話・インターネット投票」は実に64.8%を占めています〔下図参照〕。
さて本題ですが、遊技業界にとって重要な指標は下記です。
- 2016年のパチンコ・パチスロ参加者率は12.4%、参加人口は1199万人
そして、昨年1年間に1回以上「パチンコ・パチスロを遊んだことがある」と回答した人の種目の内訳は下記の通り。
- パチンコのみ……34.2%
- おもにパチンコ……15.5%
- パチンコ・パチスロそれぞれ同程度……21.8%
- おもにパチスロ……18.2%
- パチスロのみ……10.3%
「パチスロのみ」という人が10.3%いるということは、パチンコを遊んだ人は89.7%ということです。つまり、昨年1年間に「パチンコもしくはパチスロ」を遊んだ人が全体の12.1%(推計1199万人)いて、その中の89.7%はパチンコを遊んだということですから、昨年1年間に「パチンコ」を遊んだ人は11.1%で推計1075万人となります。
- 2016年のパチンコ参加者率は11.1%、参加人口は1075万人
上記が当方の推計です。
『レジャー白書』の推計値との違いは?
遊技業界が市場動向の目安としている『レジャー白書』(公益財団法人 日本生産性本部)の調査票は、以前このブログで書いた通り、「パチンコ」の参加状況を尋ねています。それを遊技業界は、<遊技参加人口>と捉えてきました。業界にとっては、参加人口を正確に推計することにさほど大きな意味はなく、増えているのか・維持しているのか・減っているのかを知る手掛かりにすることのほうが重要ですから、この推計で十分とえば十分なのです。
この『レジャー白書』によると、2015年の「パチンコ」の参加率は10.6%で、参加人口は1070万人です(2016年のレジャー活動を調査したレポートはまだ発表されていません)。
推計したパチンコ参加者人口の差は、わずか5万人です。かなりの近さだと思います。
〔注〕以前ご説明した通り、レジャー白書の調査対象は15歳以上、アミューズメントジャパンの調査対象は18歳以上なので、参加者率の分母が異なります。
ということは、もしも『レジャー白書』の調査票が、「パチンコ」ではなく、「パチンコもしくはパチスロ」となっていたら、遊技参加人口はいま発表されている数値よりも1割くらい増えるのではないかと思います。
とはいえ、前述のとおり、遊技参加人口が1075万人なのか、1199万人なのかは大した問題ではありません。横ばいか? 減ったのか? どのくらい減ったのか? ということです。
ただし、前述のとおり『レジャー白書』の調査では、「パチスロのみ」遊んだという人がカウントされない可能性が大きいので、パチスロ人気が高まって遊技参加人口が増えたり維持したとき、それが数値となって表れないという問題があります。
つまり、パチンコの遊技機の仕様が変更され、パチンコとパチスロを両方遊んでいたファンが「パチスロのみ」にシフトするようなことになった場合、 『レジャー白書』の調査では実態以上に大きくファンが減ったという数値がでるということです。
まあ、実態よりもいい数値が出て気を緩めるよりも、厳しい数値を前にして、危機感を強めて対策を考えるほうがずっといいような気がします(笑)。
最新版の『レジャー白書』は今月後半に概要版が発表されます。気になりますね。
[調査概要]
全国を8ブロックに分け、各ブロック内で性別、年代別に18歳~79歳の人数を割付け4732人から回答を得た。集計にあたっては、実際のブロックごとの性・年代の人口構成比に合うようにウエイトバック処理を行った。
文=田中 剛 (アミューズメントジャパン編集部)
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