GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)ってご存知でしょうか?
厚生年金保険事業及び国民年金事業の運営の安定に資することを目的として、年金積立金の管理及び運用を行っている独立行政法人です。
丸1年前に「2015年度の損失が約4兆7000億円に上る」との試算をもとに「運用失敗!!」と民進党が大バッシングしてメディアも大きく取り上げていました。
しかしこれ、そんな短期的に一喜一憂するようなものではないのです。民間企業が4兆7000億円もの運用損を出したら吹き飛ぶでしょうが、GPIFは世界最大の年金基金です。繰り返しますが、世界最大です!
そもそも、「運用に失敗して約5兆円も吹き飛ばした」と批判された15年度の前年はどうだったかというと、約15兆円ものプラスです。
そして先日報道されましたが(どのくらい大きなニュースになっているのか自分はわかりませんが)、16年度の運用収益は黒字に転換し収益額は約7兆9000億円。そして、年度末の運用資産額は過去最高の144兆9034億円です。
整理しますとこうです。
・2014年度の収益額は約15兆円
・2014年度末の資産運用額は137兆4769億円(この時点では過去最高)
・2015年度の損失額は約5兆円 ←民進党、メディアが大騒ぎ
・2016年度の収益額は約8兆円
・2016年度末の資産運用額は144兆9034億円(過去最高を更新)
いくら運用額が過去最大といっても、年金受給者がどんどん増えてかつ昔よりも長生きですから、「資金は枯渇するのでは?」と思っている人は少なくないと思います。そして、「将来、年金なんて見込み通りもらえるかわからない。どうせ縮小されちゃうんだろ」と思ってる人も多いと思うのです。
ボクはこれ、ちょっと違うんじゃないかなと思うのです。つまり、「年金は、かなり予定通りに支給されるだろう」ということについて、昔FBに書いたことをもとに改めて書いてみます。
以前、居酒屋で年金の話になりました。相手の方から「キミはずいぶん国を信じてるんだね」と言われ、「国はいろんな手を使って帳尻合わせをすると思う」と答えたんです。増税とかね。そもそも、人口が減って社会保険料収入が減ってるから、すでに<国庫負担率の引き上げ>という手を打っているんです。「現役世代が上の世代を支える」という形(世代間扶養)は破綻してるといえば破綻してる。でも、将来にわたって給付するための仕組み(大量の税金を投入する)は作られてる、という感じですね。
居酒屋での議論の後日、半日かけて調べなおしました。ヒマだったんで。
年金給付の主たる財源は、現役世代の支払う年金保険料です。その現役世代の人口が減って、多勢の年金受給者を支えなきゃならないから、「年金制度は破綻してる」と表現されることがあります。しかし、先に書いたように、現役世代の負担だけで給付を賄うのは無理になってるので、とっくに税金(国庫負担金)が投入されてます。基礎年金給付の2分の1は税金です。※2009年に引き上げられました。
GPIFの積立金を取り崩しながら給付してるわけじゃないんです。年年金の主な財源はあくまでも、<現役世代が払う保険料+税金>です。
株価暴落で22兆円も吹き飛んでしまった公的年金積立金ですが(※16年1月に国会質問に答える形で政府は「年金運用の最大損失額は21兆5000億円」と発表した)、16年1月の資産の時点でさえ、残高はざっくり120兆円くらいでした。この120兆円くらいあるGPIF積立金の中から国民年金や厚生年金の給付にどれくらいを支出しているのかというと、年間約5兆円ある国民年金の給付に回してる(納付金)のは数千億円程度(2013年は1731億円)、約39兆円ある厚生年金の給付に対しては2兆円くらい(同1兆9384億円)です。
国民年金給付への国庫負担率は50%近いですが、厚生年金給付への国庫負担率はまだ21%くらい。
たしかに保険料収入は少くて、年金受給者への給付にまったく足りない。けど、「過去の積立金はすぐに枯渇しないように小出しにしよう。その代わりに、大量の税金を投入しよう」という仕組みを作ってある。ですから、意外と年金は予定通り給付されると思うんです。
その代わりに増税することは間違いありません! どうにもこうにも避けようがない(労働人口が増えれば話は別ですが)。
厚生年金の支給年齢引き上げが決まった(厚生年金保険法が改正された)のは1985年、バブル好景気真っただ中でした。支給開始年齢の引き上げはすでに終わりの段階にあり、これ以上の引き上げをするには法改正が必要です。ですが、法改正をすれば引き上げることができるわけですから、今後、支給開始年齢が引き上げられる可能性は十分ありますけどね。
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