2018年5月24日木曜日

日本型の統合型リゾート(IR)に「地方型」なんてない

日本型の統合型リゾート(IR)をテーマにしたシンポジウムに出席中。弁護士、公認会計士の方々の話は少し新鮮だった。

せっかくなので気になっていた「地方型IR」なるものは、IR実施法の中で想定されているのか、法律家としてそのようなことが読み取れるのかを尋ねてみた。

というのも、当方の認識では昨年(2017年)7月末に発表されたIR推進会議による「取りまとめ」の内容は、それまでの議論と大きな変化があると思ったから。
現在、認定要件が緩和された、投資規模も小さくて済む、機能を限定されたという意味での、<地方型IR>というものは想定していないように読める。全てがカジノの他に5つの施設を擁する「国際的な競争力のある施設」であることが要求される。
そんなIRが、国内に5つも7つも作られるわけがないと、当方は思っている。

弁護士の方はこう答えた。

“弁護士の立場から法案を文言を読む限り、
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現時点では大都市とは異なる基準の<地方型>というものの想定を読み取ることはできない。

やっぱりね。


2018年5月13日日曜日

ホスピタリティー・マインド

「日本人のおもてなしの心」というのは、たしかにあると思う。

でもそういうマインドは日本人だけが持ってるわけではないし、外国人にとって、それ自体が「日本に行ってOMOTENASHIを体験したい!」というほどの動機になるとは思えない。

昨日と同じ、Sheraton Grand 1階のカフェで朝食。似たようなものを頼んだら、レジのプアカーオ(元K-1選手)似の若者が「昨日と同じですね。ヨーグルトは体調を整えるのにいいですしね♪」とニコリ。

サラリと言ってのけたけど、平日の閑散期じゃないですよ、週末ですから。すごい数の客が来てるだろうに。

そういえばホテルマンにしろレストランのフタッフにしろ、「良い一日をお過ごしください」とか、「滞在を楽しんでください」とかごく普通に言ってますよね。それは定型フレーズなのかもしれないですけど、日本だと「いらっしゃいませ」どまりが多いと思います。
会計を済ませた客を送り出すときは「ありがとうございました」と、自分が感謝してると伝えはするけど、相手に「良い一日を!」とまでは言わないですね。

日本の凄さは、所得格差の少なさ、教育水準の均質さ、道徳観の差の少なさなどではないでしょうか? 引ったくり少ないし、落し物は見つかるし。まあ、おもてなしとはちょっと違いますよね。

さっきチェックアウトしたんですが、外に出たら湿度のせいで一気にメガネが曇り視界が30%くらいに。見えない!
視界が戻ると目の前にチェックインした時のベルボーイ君が立っていて、「滞在はどうでした? MGMはどうでした?」と声をかけてきた。

サラリと言うね~。
自分が泊まっていたのはMGMではなく、SANDS CENTRALのSheraton Grand。MGMは隣の敷地にあるライバル施設。

実は、チェックインし部屋に荷物を運んでもらったとき、彼にMGM COTAIへの行き方を尋ねた(ボクはMGM COTAIの取材に来たので)。
彼はその会話を覚えていたわけ。
よく覚えてるものだな。
ゲストに関心を持っているんだな。

いい感じだったので、トリップアドバイザーで高評価をつけておくよ!

日本ではホテルマンにしろ、レストランのホールスタッフにしろ、こういうひと言を添えられる人は少ないように思うけど、日本のOMOTENASHIって本当にそんなにすごいのかね?

マカオのギャンブル依存問題対策

マカオの各カジノには、レスボンシブルゲーミングを啓蒙するためのキオスクブースがある。

インタラクティブ端末でギャンブリングに関する正しい知識を提供する。
カジノゲームごとに、カジノ側が何パーセント有利なようにゲームが設計されているかなど数式を交えて真面目に情報提供していてる。「カジノのゲームはお金を使って遊ぶものであり、あなたはお金儲けはできないのです」ということを説いているという印象。
ラスベガスのMGMで見た「ゲームセンス」はクイズ形式でとっつきやすいものだったが、マカオのこれにはそういうユーモアは感じなかった。


右側のラックには各種相談機関の連絡先や白書『report on responsible gambling promotions 2016 』などがあり自由に閲覧できる。

しかもこのブースがスゴイのは、日に何時間かカウンセラーが待機していてその場で相談に乗ってくれるという。

当方の勉強不足ということですが、こんなに仕組みができているとは思いもしなかった。ラスベガスよりずっと進んでると思う。MGMがゲームセンスを設置したのは昨年の秋頃だったと思うし、そのゲームセンスはmade in Las Vegas ではなく、カナダの会社のもの。

ただし、シンガポールと違ってマカオでは入場時の身元確認がないため、セルフエクスクロージョンにせよ第三者エクスクロージョンにせよ、うまく機能しているかは疑問。


このレスポンシブルゲーミング・インフォメーション・キオスクには、模擬ゲームが内蔵されていて、その遊び方(賭け方)のスタイルを分析して注意を促すという機能もあります。
その結果は、大判のレシートみたいな感熱紙で出てきます。

この端末の最初の画面で、ツーリストか住民かを尋ねられます。つまり、ツーリストに提供する情報と住民に提供する情報が異なるのです。
政府としては、マスフロアに来る少額で遊ぶ<マカオ住民>が問題あるギャンブリング行動に陥ってないかが心配であり、また彼らにゲーミングには危険な側面もあると伝えて節度ある遊び方をしてもらいたいのです。


田中 剛(Tsuyoshi Tanaka)/ Amusement Japan 編集部 EDITOR

2018年5月12日土曜日

マカオ コタイ地区の変貌

コタイ地区の変貌に驚いてます。知識として知っていても、この目で見るとやはり衝撃ですね。これだけのホテル客室があり、カジノがあり、まだ開発の途中だという。
前回自分が取材に来たときはベネシアンしかできてなかったんですよね。

見渡す限り更地だったところや、「あの丘のあたりから撮影したなー」というところに要塞みたいな巨大な建物ができていて。


もちろん、この数年の間にマカオに来る機会もあったんですが、そのときは部下に行かせたんです。「カジノの取材経験や知識が自分に集中するのは良くないから、彼を行かせたい」と提言して。


こんなに開発された街を見ると、日本の進みがいかに遅いか、いやでも考えさせられます。なんでこんなに遅いんでしょうね。



マカオ大学の新キャンパス(3年前に移転)もすごいく立派!
移転によって規模が3倍くらいになりました。これは、「これからどんどん学生を集めて人材を輩出していくぞ!」という、マカオ唯一の国立大学の決意表明ですね。

竣工式だか開校式に習近平国家主席がお見えになったそうです。考えようによっては、「たかが特別行政区の公立大学の移転」です。そこに国家主席が来た。この大学が中国にとっても重要な戦略拠点になることを示唆しています。
 



事前に地図を見ていて気づいたのですが、国立マカオ大学のキャンパスがあるのはマカオのコタイ地区ではなく、対岸の中国側(ジュハイと呼ばれている)。
要するに中国がマカオ特別行政区に土地を貸してる。つまり、中国政府はこのようにして、マカオ特別行政区の範囲を広げることができるわけだ。
ということは...、コタイ地区に土地がなくなれば、"マカオ特別行政区に土地を貸している"という名目で、中国側に特区を広げることができる。
どういうことかというと、中国側でのビーチリゾート開発やさらなるカジノリゾート開発もあり得る!


マカオ大学工商管理学院内のゲーミング・ラボにあるトレーニング室。
ディーラー養成所ではありません。ディーラーを「管理」する幹部の養成所です。サベーランスルームもあります。



イギリスの高等教育専門誌「THE(Times Higher Education)」が昨年発表した「THE世界大学ランキング」では、81カ国1102校の順位を発表しています。
アジアの中では
1位 シンガポール国立大学/National University of Singapore(世界22位)
2位 北京大学/Peking University(世界27位)
3位 清華大学/Tsinghua University(世界30位)
4位 香港大学/University of Hong Kong(世界40位)
5位 香港科技大学/Hong Kong University of Science and Technology(世界44位)
日本が誇る東京大学はこの次。

マカオ唯一の公立大学(実質的には中国の国立大学)であるマカオ大学/University of Macauは、世界351位という位置。同位の日本の大学はと言うと、九州大学です。マカオ大学のすぐ下には、北海道大学、東京医科歯科大学(TMDU)、筑波大学がつけています。
ホスピタリティ&レジャー・マネジメント領域に限ると、マカオ大学のランキングは世界46位、アジア9位なんです。スゴイ!!