調べた結果をすべての対象者について集計したものを「単純集計」といいます。例えば、ホール来店者に「よく打つ機械のタイプ」を尋ねた場合に、MAXタイプが何人、ミドルタイプが何人、ライトミドルが何人と、回答者数もしくは割合が一覧できる表です。しかし、幅広い年代の客を「全体」で一括りにして得られた集計結果は、「誰に」を絞り込めていませんので、具体的なアクションをとりにくいと思います。
そこで大抵の場合、回答者をある条件で絞り込んで集計して、回答(意識や行動)にどのような違いがあるかを比較します。もっとも基本的な絞り込み条件は、男性か女性かという「性別」、20代か30代か40代か……という「年代別」です。ホール来店客の調査であれば、「最もよく遊技する機械別」(パチンコ派/パチンコ・パチスロ半々派/パチスロ派)もよく使う条件です。このような集計方法を「クロス集計」と呼びます。
クロス集計によって、月間の遊技予算、普段よく打つ機械のタイプ、店舗選びで重視する項目等々の質問項目を、「20代」の回答結果、「30代」の回答結果、「40代」の回答結果……という具合にそれぞれ算出します。同様に、「パチンコ派」の回答結果、「パチンコ・パチスロ半々派」の回答結果、「パチスロ派の回答結果」という具合にそれぞれ算出します。こうして回答者を様々な切り口によって分類し、その回答の差異を見ることで、属性ごとの傾向をつかむことができ、「この種の人たちに向けては、○○○をしたらよいのではないか」と施策を検討することができます。
施策を考えるためには、データの全体(単純集計)を眺めるのではなく、データを整理すること(クロス集計)が有効だということは、実は小学4年生の算数で教えています。
教科書の設定はこうです。ある小学校の児童3人が、学校内でのケガを減らすにはどうしたらいいかを考えるために、「保健室にある記録を整理しよう」と思いつきます。記録にはケガをした児童の名前のほかに、保健室に来た日付、曜日、学年、組、ケガの種類・症状、ケガをした日時、場所、理由といったことがあります。
集計の結果「打撲」が最も多かったとして、学校中で「打撲に気をつけましょう」と注意を促すとしたらどうでしょう?
校庭でも体育館でも廊下でも教室でも同じように「ぶつからないように注意!」とポスターを掲示するのは効果的でしょうか?
教科書の中の児童は、保健室の記録からケガの種類とケガをした場所を抜き出して整理します。どんなケガがどこで起こっているかをわかりやすく整理する工夫をして、表頭を場所、表側をケガの種類にした表を作り、それぞれのマス目に正の字を書いて数え上げました。できあがった表はまさしく「クロス集計表」です(そういう言葉は使っていませんが)。
児童は「2つのことがらがひと目でわかる表にできたね」と言います。縦に見れば「教室で一番多いケガの種類」がわかり、横に見れば「切り傷が一番多い場所」がわかります。こうすると、ケガを減らすためには、場所ごとに注意喚起する内容を変えたほうがよさそうだと考えつきます。
問題解決のためにデータを整理することは、小学4年生で教わることの延長なのです。(編集部・田中剛)
0 件のコメント:
コメントを投稿