2016年9月4日日曜日

#夫も知っておくべき! 妻が妊娠・出産のために退社したら(その1)

会社勤めをしている妻が、妊娠・出産のために退職した場合、それまで加入していた健康保険をどうするかという問題があります。たいていの場合、「会社勤めをしている夫の扶養に入る」という選択をすると思いますが、他にどのような選択肢があるのか、扶養に入るためにはどんな手続きがあるのか、といった流れは、夫もある程度知っておいた方がよいと思います。
なぜなら、妻がやらなければならないことは、役所や職安での手続きだけでなく、夫の勤務する会社を通じた申請もあるからです。書類の不備等があった場合、会社が夫にその旨を伝え、夫がその旨を妻に伝えることになります。また、妻の質問を夫が会社に伝えることになります。夫が、妻と会社との間で、正確な伝達役にならないと、手続きが滞ってしまいます。夫も大まかな流れを知っておくべきというのは、こういうことを避けるためです。

会社勤めをしていた女性(勤務先で健康保険に入っていた)が、妊娠・出産のために退職する場合、医療保険の選択肢は3つあります。
1.それまでの勤務先の健康保険の「任意継続」
2.国民健康保険に切り替える
3.夫の健康保険の被扶養者になる

任意継続も国民健康保険も妻自身が保険料を支払う必要があります。どちらの保険料が安いかは一概にはいえません。これに対して、夫の健康保険の扶養に入る場合、妻の保険料負担はなくなります。しかも、夫の給料から天引きされる保険料が増えるわけではありません。ですから、扶養に入るという選択が一般的です。

夫の健康保険の扶養に入るにはどんな手続きが必要かの説明の前に、「扶養」について少し説明しておきます。というのも、けっこう混乱の原因になっているようなのです。
扶養は大別すると、「社会保険上の扶養」と「税金上の扶養」があり、それぞれで、被扶養者になれる要件が異なるのです。今ここで説明しているのは、社会保険上の扶養で、具体的には公的医療保険上の扶養のことです。

夫の健康保険の被扶養者になるには、妻は夫の会社に手続きをしてもらいます。具体的には、「健康保険 被扶養者(異動)届」に「退職証明書または雇用保険被保険者離職票の写し」を添付して離職から5日以内に年金事務所に提出です。※協会けんぽの場合
扶養に入れるかどうかでちょっと問題になる可能性があるのが、妻が1月から退職までの間にどれだけ収入があったかです。扶養に入れるかどうかの規定は法律で決まっているわけではなく各健康保険組合が決めているため、夫が加入している健康保険組合の規定に従うしかありません。もしも、夫が加入している健康保険組合の扶養の規定が、全国健康保険協会管掌健康保険(通称:協会けんぽ)に準拠しているのであれば、出産理由の離職であれば扶養の条件に該当します。「今後向こう1年間の収入見込みが130万円未満」に該当するからです。妻の1月から退職までの収入額は問われません。
ちなみに、夫の健康保険の被扶養者になると、出産時に、「家族出産育児一時金」がもらえます。42万円です。

妻の退社時期が8月くらい以降の場合、「今年の収入はすでに130万円を超えているから、夫の扶養に入れないと聞いたが、どうなの?」という疑問を抱く人がいるようです。これは、社会保険(=健康保険)の扶養の話と、税金(=所得税の配偶者控除、配偶者特別控除)の話を混同している可能性があります。念のため、被扶養者に該当する条件のうち、収入要件の説明を再度書きます。 この収入要件はけっこう大事で、出産後に仕事探しを開始して、失業給付を申請し受給が始まったとき、再びこの収入要件を参照することになります。

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年間収入130万円未満(60歳以上又は障害者の場合は、年間収入※180万円未満)かつ
・同居の場合 収入が扶養者(被保険者)の収入の半分未満(*)
・別居の場合 収入が扶養者(被保険者)からの仕送り額未満
※年間収入とは、過去における収入のことではなく、被扶養者に該当する時点及び認定された日以降の年間の見込み収入額のことをいいます。(給与所得等の収入がある場合、月額108,333円以下。雇用保険等の受給者の場合、日額3,611円以下であること。) また、被扶養者の収入には、雇用保険の失業等給付、公的年金、健康保険の傷病手当金や出産手当金も含まれますので、ご注意願います。
〔出展:日本年金機構 健康保険(協会けんぽ)の扶養にするときの手続き〕
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<続く>

実は、もっとサクッと書けると思ったのですが、分かりやすさと正確さを両立させようとすると、意外と字数が必要なことがわかりました。で、ここまで書いて疲れました。
ですので、続きはまた今度。

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