子どもが生まれた、もうすぐ生まれる、となると気になってくるのが「学資保険」だと思います。年初にちょうどそういう部下がいたんで、なんだかボクも気になっちゃったんですよね。
住宅費用、教育費用、老後費用は人生の3大費用と言われます。子育て(教育費と養育費)は住宅購入と同じくらいの大きな支出となりますから、早いうちから蓄えていかないと後が大変です。
結論から言うと、あまり深く考えずに学資保険に入ったほうがいいと思います。
違う意見あるでしょう。
1.学資保険は貯蓄機能だけでなく保険機能も備えているため、保険料には契約者の死亡保障に対するコストが含まれている。よって、お金を増やす目的には向いていない(特に保険期間が短い場合や契約者の年齢が高い場合は不利)。
2.予定利率は加入時のまま固定されるので超低金利の今は、貯蓄目的としてまったく魅力的でない。
3.換金性が低い。お金が必要になって途中で解約すると元本割れする。※定期預金なら解約しても元本割れしないのに。
反対意見はこんなところでしょうか? どれももっともな意見です。
しかし、こういうのは「絶対にこちらが正しい、オススメ!」というのはないと思います。各人の価値観であったり、何に安心感や利便性を感じるかです。
部下が「こんな反対意見もあるようですけど」と上記のようなことを挙げたら、ボクなら次のように答えます。
1.については、30代で、払込期間17年とかだったら、定期預金と比べて不利とは言えない。
2.「増やそう」と思ったらその通り。でも減るわけじゃないし確実に貯まっていく。
3.途中換金性が必要になるということは緊急事態なんだから、そのときは元本割れしても仕方ないと割り切る。ちなみに、一時的に入り用ということなら、契約者貸付制度がありますので、解約しないことも検討すべきです。※金利は高い。
ボクが「あまり深く考えずに学資保険に入ったほうがいい」という理由は、
1.とにかく強制的に引き落とす
2.換金性がやや低い(簡単に手を付けようと思わない)
です。
積み立て型の定期預金でもいいんですが、若い夫婦はとにかく引き落とすべき!
月々の可処分所得から、ゆくゆく必要になるお金をまず見えないところに移動してしまうって重要です。本当は「資産」なんだけど、生活費(費用)を支出したつもりになって、「こんなにお金は出て行くんだね。今月使えるお金はもうあまり残ってないね」という気分になること。
そうでもしないと、独身気分、DINKS気分が抜けずに、消費生活を謳歌してしまいますからね。
ボクの経験から言いますと、子どもが生まれて小学校に入っても、「この先、子育てにはたくさんのお金がかかる」なんて、実感できませんから。
もういちど書きますけど、「実感できません」よ。
計算すれば、どう考えたってかなりのお金がかかる(前回書きました)。でも、子どもが小さいうちは、日常ではそんなことは感じないんです。
だからこそ、学資保険に入って一定額を引き落としてしまって、「いま使えるお金はこれだけなんだ」と新しい金銭感覚に慣れる必要があるんです。
換金性がやや低いというのも好都合で、「いま解約したら元本割れだよね」というのが安易な解約のブレーキになります。
これが積み立ての預金だと、「おー、お金が貯まってる〜」みたいな感覚になって、つい「家族のため」なんて言って立派な車に買い替えたりしてしまいかねないし(笑)。
人間の心はそんなに強くないですから。
[追記]
上記の見解は、「入らないより入らない方がいい」ということですが、デメリットもあることをご承知ください。現実には、「低解約返戻金型保険」も検討に値するものだと思います。
学資保険にせよ、低解約返戻金型保険にせよ重要なことは以下の3つだと思います。
(1)増やす機能はほぼありませんので、金融商品としては魅力的ではありません。
(2)安心料というコストを払っています。自分が安心料に対していくら払うつもりか意識すべきです。
(3)中途解約しないで済むような全体的な家計プランの中で考えること。中途解約すると、金銭的には大損ですから。
2016年12月31日土曜日
2016年12月30日金曜日
#子どもが大学を出るまでの費用は約2800万円以上
子どもの教育費についての文部省の調査データを眺めていてふと思ったのですが、まだ子どもが小さなお父さん・お母さんの中には、公立高校の「無償化」を誤解してる人がいるかもしれないなと思いました。
そういうライフステージの部下がいるので気になってしまうのかもしれません。
普通の公立高校に通ったとして、学習総費用は年間にだいたい40万円くらいかかります。このうち25万円くらいが「学校教育費」。「授業料の実質無料化」とは、これが無償になるという意味ではありません。無償になったのは学校教育費の中の、月額9900円(年額11万8,800円)の授業料です(※)。
※この「高等学校等就学支援金制度(2014年4月~)」は所得制限があるので全員が無償というわけではありません。
※私立高校に通う場合、 年収250万円未満程度の世帯には24,750円/月、年収250~350万円程度の世帯には19,800円/月)、年収350~590万円程度の世帯には14,850円/月の給付があります。
授業料が無償になっても、入学金や教科書代、修学旅行費、部活動費などは無償の対象ではありません。これらの合計が「学校教育費」で、授業料以外にこれらが年間約25万円かかるのです。
この「学校教育費」に、「学校給食費(高校はなし)」と「学校外活動費」を加えたものが「学習総費用」となります。それが年間約40万円かかるのです。
文部省のデータでは、学費は、幼稚園(公)、小学校(公)、中学(公)、高校(公)、大学(私文)の場合、約1194万円。もし高校が私立で大学が私立文系だったら1368万円です。
しかし、」子どもを育てるのにかかる費用は教育費だけではありませんよね。もっと基礎的な、食費、衣服費があります。他にもお小遣い、レジャー費もあります。教育費以外のこれらは「養育費」と表現されることもあります(法律の用語とは意味が異なります)。
いろいろお金がかかりますが、こういうものはすでにたくさんデータの蓄積がありますので、概算をつかむことはできます。AIUの調査では、子どもを育てる(大学を卒業させる)のにかかる教育費以外の費用は約1640万円だそうです。※あくまで平均値なので、これより多くかける家庭もあれば少ない家庭もあります。
ですから、教育費とそれ以外の費用を合わせると、子どが大学を卒業するまでにかかる費用は、少なくとも2800万円くらいはかかるということです。
これらはほぼ想定できることなので、お子さんが小さいいま「お金が足りるかな?」と思っていても、早いうちならいろいろ手を打てるわけです。というか、手を打たなければ行き詰ります。
お金、かかるものですね。
かといってて、「自分(世帯主)に万一のことがあったら...」と過剰に生命保険に入れば家計を圧迫します。可処分所得とのバランスを考えずに「とりあえず学資保険に」と加入してしまうと、後々、途中解約せざるを得なくなり元本割れになることもあります。
よくよく考える必要があります。
そういうライフステージの部下がいるので気になってしまうのかもしれません。
普通の公立高校に通ったとして、学習総費用は年間にだいたい40万円くらいかかります。このうち25万円くらいが「学校教育費」。「授業料の実質無料化」とは、これが無償になるという意味ではありません。無償になったのは学校教育費の中の、月額9900円(年額11万8,800円)の授業料です(※)。
※この「高等学校等就学支援金制度(2014年4月~)」は所得制限があるので全員が無償というわけではありません。
※私立高校に通う場合、 年収250万円未満程度の世帯には24,750円/月、年収250~350万円程度の世帯には19,800円/月)、年収350~590万円程度の世帯には14,850円/月の給付があります。
授業料が無償になっても、入学金や教科書代、修学旅行費、部活動費などは無償の対象ではありません。これらの合計が「学校教育費」で、授業料以外にこれらが年間約25万円かかるのです。
この「学校教育費」に、「学校給食費(高校はなし)」と「学校外活動費」を加えたものが「学習総費用」となります。それが年間約40万円かかるのです。
・学習費総額=学校教育費+学校給食費+学校外活動費(※)
※学校外活動費とは、補助学習費やその他の学校外活動費です。
文部省のデータでは、学費は、幼稚園(公)、小学校(公)、中学(公)、高校(公)、大学(私文)の場合、約1194万円。もし高校が私立で大学が私立文系だったら1368万円です。
しかし、」子どもを育てるのにかかる費用は教育費だけではありませんよね。もっと基礎的な、食費、衣服費があります。他にもお小遣い、レジャー費もあります。教育費以外のこれらは「養育費」と表現されることもあります(法律の用語とは意味が異なります)。
いろいろお金がかかりますが、こういうものはすでにたくさんデータの蓄積がありますので、概算をつかむことはできます。AIUの調査では、子どもを育てる(大学を卒業させる)のにかかる教育費以外の費用は約1640万円だそうです。※あくまで平均値なので、これより多くかける家庭もあれば少ない家庭もあります。
ですから、教育費とそれ以外の費用を合わせると、子どが大学を卒業するまでにかかる費用は、少なくとも2800万円くらいはかかるということです。
これらはほぼ想定できることなので、お子さんが小さいいま「お金が足りるかな?」と思っていても、早いうちならいろいろ手を打てるわけです。というか、手を打たなければ行き詰ります。
お金、かかるものですね。
かといってて、「自分(世帯主)に万一のことがあったら...」と過剰に生命保険に入れば家計を圧迫します。可処分所得とのバランスを考えずに「とりあえず学資保険に」と加入してしまうと、後々、途中解約せざるを得なくなり元本割れになることもあります。
よくよく考える必要があります。
2016年12月25日日曜日
#月給手取20万円・30歳で貯金なし。彼女にフラれて節約に目覚める模様
週刊モーニングの新連載マンガ『節約ロック』は面白そうな予感がしますね。
だらしないというほどではないけど貯金のないごく普通の、30歳サラリーマン(アマチュアバンドをやっている)が、節約の楽しさに目覚めるとか、そんな展開なんでしょうね、おそらく。
主人公は30歳独身で、7年勤めてる会社員。月の「手取り」が20万円だそうです。
連載第一回で主人公は彼女にフラれてしまいました。彼女は将来性のない彼に愛想をつかしてしまったのです。
さて、月の手取りから年収を推測してみしょう。
はっきりいうと、「ボーナスしだい」ってことなんですが、2パターンで計算してみます。
【ケース1】
諸手当とか無視してごく単純に夏冬合わせて賞与が4ヵ月分あったとします。月額は年収の16分の1ということになります。すると...。
年収はだいたい420万円、毎月の額面は26.25万円くらいですね。
控除計は6.01万円となりますので、手取りがほぼ20万円。
==控除の内訳==
社会保険料 年61.6万円⇒16分の1は3.85万円
所得税 年9.3万円⇒16分の1は0.58万円
住民税 年19万円⇒12分の1は1.58万円
【ケース2】
賞与が夏冬合わせて2カ月分だとしたら、月額は年収の14分の1です。すると...。
年収はだいたい360万円で、毎月の額面は25.71万円くらいですね。
控除計は5.47万円となり、手取りはほぼ20万円。
==控除の内訳==
社会保険料 年51.4万円⇒14分の1は3.67万円
所得税 年7.4万円⇒14分の1は0.53万円
住民税 年15.2円⇒12分の1は1.27万円
かように、同じ「手取り20万円」でも、賞与がどれだけあるかによって、年収は異なりますよね。そこで、正規雇用・従業員100人~999人・男性の平均年収を調べてみました。※厚生労働省「賃金構造基本統計調査」からおよその通勤交通費を引いた概算
◇25歳~29歳 約412万円
◇30歳~34歳 約492万円
ですから、30歳ちょうどだと平均年収は452万円(通勤手当を除く)となります。
おそらく、このマンガ『節約ロック』の主人公の設定は30歳正社員の平均年収より少し低めなのでしょう。さて、節約に目覚めた彼はどんなふうに、“ロックな節約”をしていくのでしょうね?
だらしないというほどではないけど貯金のないごく普通の、30歳サラリーマン(アマチュアバンドをやっている)が、節約の楽しさに目覚めるとか、そんな展開なんでしょうね、おそらく。
主人公は30歳独身で、7年勤めてる会社員。月の「手取り」が20万円だそうです。
連載第一回で主人公は彼女にフラれてしまいました。彼女は将来性のない彼に愛想をつかしてしまったのです。
さて、月の手取りから年収を推測してみしょう。
はっきりいうと、「ボーナスしだい」ってことなんですが、2パターンで計算してみます。
【ケース1】
諸手当とか無視してごく単純に夏冬合わせて賞与が4ヵ月分あったとします。月額は年収の16分の1ということになります。すると...。
年収はだいたい420万円、毎月の額面は26.25万円くらいですね。
控除計は6.01万円となりますので、手取りがほぼ20万円。
==控除の内訳==
社会保険料 年61.6万円⇒16分の1は3.85万円
所得税 年9.3万円⇒16分の1は0.58万円
住民税 年19万円⇒12分の1は1.58万円
【ケース2】
賞与が夏冬合わせて2カ月分だとしたら、月額は年収の14分の1です。すると...。
年収はだいたい360万円で、毎月の額面は25.71万円くらいですね。
控除計は5.47万円となり、手取りはほぼ20万円。
==控除の内訳==
社会保険料 年51.4万円⇒14分の1は3.67万円
所得税 年7.4万円⇒14分の1は0.53万円
住民税 年15.2円⇒12分の1は1.27万円
かように、同じ「手取り20万円」でも、賞与がどれだけあるかによって、年収は異なりますよね。そこで、正規雇用・従業員100人~999人・男性の平均年収を調べてみました。※厚生労働省「賃金構造基本統計調査」からおよその通勤交通費を引いた概算
◇25歳~29歳 約412万円
◇30歳~34歳 約492万円
ですから、30歳ちょうどだと平均年収は452万円(通勤手当を除く)となります。
おそらく、このマンガ『節約ロック』の主人公の設定は30歳正社員の平均年収より少し低めなのでしょう。さて、節約に目覚めた彼はどんなふうに、“ロックな節約”をしていくのでしょうね?
2016年12月24日土曜日
#国民年金は払った方がいいですよ。払い損は誤解です。
「国の制度なんてあてにならない。どうせ自分は納めた分の給付をもらえないんだから、年金保険料を払いたくない」という考えは間違っています。
おせっかいにも、このことを説明してみようと思います。
第1の理由は、いま現役の我々が払う年金保険料は、いまのお年寄りの年金のためだからです。そういう、「世代間扶養」の制度なんですよ。お年寄りへの「仕送り」みたいなものです。
ですから、「まあ、頑張れば払えるけど...、国民年金保険料を払いたくない」というのは、「お年寄りに仕送りしたくないよ!」ということになっちゃうんです。そもそも、損得の話じゃないんです。日本で暮らしてる以上、仕方ない“会費”みたいなものです。
公的年金は、自分の将来のために積立する民間の保険とはちょっと違うんです。
ご存知の通り、お年寄りが圧倒的に多くなり、現役世代が少なくなってます。1960年には、16.5人の若者が1人の高齢者を支えている状態でしたが、2015年には2.3人で1人を支えていることになります。
単純計算すると、いま国民年金保険料が16,260円/月で、16,260円×2.3人=37,398円ですね(実際には未納者がいるのでこの額に達しない)。一方、現時点で老齢基礎年金(=国民年金)の受給権を持つ人の平均年金月額は、平成26年度で54,414円。足りてないですよね?
ということで、「国の制度なんてあてにならない。どうせ自分は納めた分の給付をもらえないんだから、年金保険料を払いたくない」という考えが間違っている第2の理由を説明します。
現役世代によるお年寄りへの仕送りが37,398円(より少ない)なのに、年金受給者は54,414円を受け取ってる…。なんかヘンですよね。
どうしてこれが成り立っているかというと、「世代間扶養の仕組みの破綻は明らかだから、集めた税金で補充入しよう」とだいぶ前に決めてるんですね。で、いまお年寄りが受け取ってる年金の何割かは税金(国庫負担金)から出してるんです。
では、現役世代はいくら年金を受け取れるのか?
たしかに国民年金保険料の月16,260円は安くはないですが、20歳から60歳まで納めたとして、65歳から受給が始まり75歳になった頃には、納めた額と同じくらいの給付を受ける計算になります。そこから先は、簡単にいえば「払った分より多くもらえる分」ということ。
いま20歳の男性の平均余命は60.9年なので、平均的には80.9歳まで生きます。75歳~80.9歳で、ざっくり6年ですから、78万円×6年=468万円プラスです。平均ですから、もっとプラスになる方もいるわけです。女性ならもっと“プラス”になります。寿命が長いですから。
お年寄りへの世代間の「仕送り」をしない/できない人が増えると、年金制度を維持するために、税金で賄う部分も増やさざるを得ない。なおかつ、いま「仕送り」をしなかった人は、将来自分が老人になった時に、下の世代から「仕送り」をもらえないというルール。これが公的年金の仕組みです。
払った方がいいですよ。
おせっかいにも、このことを説明してみようと思います。
第1の理由は、いま現役の我々が払う年金保険料は、いまのお年寄りの年金のためだからです。そういう、「世代間扶養」の制度なんですよ。お年寄りへの「仕送り」みたいなものです。
ですから、「まあ、頑張れば払えるけど...、国民年金保険料を払いたくない」というのは、「お年寄りに仕送りしたくないよ!」ということになっちゃうんです。そもそも、損得の話じゃないんです。日本で暮らしてる以上、仕方ない“会費”みたいなものです。
公的年金は、自分の将来のために積立する民間の保険とはちょっと違うんです。
ご存知の通り、お年寄りが圧倒的に多くなり、現役世代が少なくなってます。1960年には、16.5人の若者が1人の高齢者を支えている状態でしたが、2015年には2.3人で1人を支えていることになります。
単純計算すると、いま国民年金保険料が16,260円/月で、16,260円×2.3人=37,398円ですね(実際には未納者がいるのでこの額に達しない)。一方、現時点で老齢基礎年金(=国民年金)の受給権を持つ人の平均年金月額は、平成26年度で54,414円。足りてないですよね?
ということで、「国の制度なんてあてにならない。どうせ自分は納めた分の給付をもらえないんだから、年金保険料を払いたくない」という考えが間違っている第2の理由を説明します。
年金は国庫負担金からも支払われている
現役世代によるお年寄りへの仕送りが37,398円(より少ない)なのに、年金受給者は54,414円を受け取ってる…。なんかヘンですよね。
どうしてこれが成り立っているかというと、「世代間扶養の仕組みの破綻は明らかだから、集めた税金で補充入しよう」とだいぶ前に決めてるんですね。で、いまお年寄りが受け取ってる年金の何割かは税金(国庫負担金)から出してるんです。
では、現役世代はいくら年金を受け取れるのか?
たしかに国民年金保険料の月16,260円は安くはないですが、20歳から60歳まで納めたとして、65歳から受給が始まり75歳になった頃には、納めた額と同じくらいの給付を受ける計算になります。そこから先は、簡単にいえば「払った分より多くもらえる分」ということ。
いま20歳の男性の平均余命は60.9年なので、平均的には80.9歳まで生きます。75歳~80.9歳で、ざっくり6年ですから、78万円×6年=468万円プラスです。平均ですから、もっとプラスになる方もいるわけです。女性ならもっと“プラス”になります。寿命が長いですから。
お年寄りへの世代間の「仕送り」をしない/できない人が増えると、年金制度を維持するために、税金で賄う部分も増やさざるを得ない。なおかつ、いま「仕送り」をしなかった人は、将来自分が老人になった時に、下の世代から「仕送り」をもらえないというルール。これが公的年金の仕組みです。
払った方がいいですよ。
#借金までして大学に行った成果
イギリスは他国に比べて大学進学の経済的な負担が軽いそうです。政府が貸し出す学資ローンは、返済額は収入(=返済能力)に応じるという仕組みのため、低所得であれば返済は求められない。
で、何が起こっているか?
ZUU Onlineの記事は衝撃的です。
イギリスでは、大卒者があふれてしまい、大学を出たものの高額所得の仕事に就けず、低所得あるいは無職にとどまる大卒者が急増しているというのです。
学資ローンは返済しなくていいけど、生活費はかかるわけですから、苦しい生活を強いられています。
調査の対象となった31万人中49%が「高卒でも現在の職業につけた」と大学進学に価値を見出しておらず、37%が「学資ローンを組んだこと自体を悔やんでいる」と回答。
日本でも、「借金までして大学を出たけど、あまり意味はなかった」と思ってる人が大勢いるのでしょうか?
だとしたら、学生本人が貸与を受ける日本学生支援機構は規模を縮小していったほうがいいのではないか? 進学したその一時点だけを見れば「おかげで進学できた」と思っていても、結局のところ、社会に出る頃に背負った借金の重さに気づき、かつ「大学は価値がなかった」と後悔するのであれば。
日本のGDPに占める教育関連予算は先進国の中で少ないので、拡充すべきと思う。けど、重点的に予算を投じるべき領域は、大学進学の資金支援よりも、小中高といった基礎教育をしっかり受けられるための支援なんじゃないか。
皆んなが皆んな大学へ行く必要はないことを、イギリスの状況が物語っているように思います。
◾︎ZUU Onlineの記事
https://zuuonline.com/archives/124491
[参考までに]
いま日本で中心的な学資金ローンは日本学生支援機構(JASSO)の一種、二種ですが、これにも経済困難、傷病、災害等、奨学金の返還が困難になった場合、毎月の返還額を半分にする(その分の返還期間は2倍になる)「減額返還」という制度があります。
いま日本で中心的な学資金ローンは日本学生支援機構(JASSO)の一種、二種ですが、これにも経済困難、傷病、災害等、奨学金の返還が困難になった場合、毎月の返還額を半分にする(その分の返還期間は2倍になる)「減額返還」という制度があります。
2016年12月21日水曜日
#年金は破たんし若い世代は「払い損」は本当か?
厚生年金は本当に「払い損」「納め損」なのでしょうか?
そういうことがテレビのワイドショーで取り上げられたり、ネット上にニュースや個人ブログエントリーが流れることがありますよね。自分も以前からときどき目にしていて、もなんとなく「そういうものか」と思ってました。会社勤めだと年金保険料は天引きされるので、「仕方ないや」という気になるんです。
しかし、ちょっと前に、「現在の30代は払い損1800万円」といった具体的な数字を示した記事を見て驚きました。
・
・
・
そんなワケ、ねーだろ!(笑
いったいどんな計算したらそうなるのだろう?
と思ったことを思い出し、計算の根拠を探してみました。
政府が後出しで無茶な法改正をすることをことを想定しているだろうか?
誰かが算出した計算を間違って(or都合よく)引用したのだろうか?
・
・
・
見つけた。
おそらく、これが「若者世代は払い損○○○万円」の根拠となっているもの。
あるサイトに引用されている、サラリーマンの現在の年齢ごとの、「生涯の年金保険料支払額-総支給額」の表の脇に注釈がある。某大学経済学部の先生による試算。ただしそこには、保険料は<労使の負担を合算したもの>と書いてある。
厚生年金保険料は労使折半です。
半分は企業が負担しています。
自分がどれだけ支払って、どれだけ受給できるか、ということが問題にされているのに、どうして企業が負担した分を足す必要があるのでしょうか? そんな必要ないですよね?
無理矢理に、「自分の支払額-支給額」がマイナスになると話を持っていきたかったのかもしれません。もしくは、たまたま見かけた試算表を、作者の作成意図を誤って引用してしまったのか。
というわけで、繰り返しますが、 「若者世代は払い損○○○万円」というのは誤りです。
そういうことがテレビのワイドショーで取り上げられたり、ネット上にニュースや個人ブログエントリーが流れることがありますよね。自分も以前からときどき目にしていて、もなんとなく「そういうものか」と思ってました。会社勤めだと年金保険料は天引きされるので、「仕方ないや」という気になるんです。
しかし、ちょっと前に、「現在の30代は払い損1800万円」といった具体的な数字を示した記事を見て驚きました。
・
・
・
そんなワケ、ねーだろ!(笑
いったいどんな計算したらそうなるのだろう?
と思ったことを思い出し、計算の根拠を探してみました。
政府が後出しで無茶な法改正をすることをことを想定しているだろうか?
誰かが算出した計算を間違って(or都合よく)引用したのだろうか?
・
・
・
見つけた。
おそらく、これが「若者世代は払い損○○○万円」の根拠となっているもの。
あるサイトに引用されている、サラリーマンの現在の年齢ごとの、「生涯の年金保険料支払額-総支給額」の表の脇に注釈がある。某大学経済学部の先生による試算。ただしそこには、保険料は<労使の負担を合算したもの>と書いてある。
厚生年金保険料は労使折半です。
半分は企業が負担しています。
自分がどれだけ支払って、どれだけ受給できるか、ということが問題にされているのに、どうして企業が負担した分を足す必要があるのでしょうか? そんな必要ないですよね?
無理矢理に、「自分の支払額-支給額」がマイナスになると話を持っていきたかったのかもしれません。もしくは、たまたま見かけた試算表を、作者の作成意図を誤って引用してしまったのか。
というわけで、繰り返しますが、 「若者世代は払い損○○○万円」というのは誤りです。
文=田中 剛
エディター/月刊アミューズメントジャパン元編集長
キャリアコンサルタント/GCFD-Japan(CCE, Inc)
ファイナンシャル・プランニング技能士2級/AFP(日本FP協)
エディター/月刊アミューズメントジャパン元編集長
キャリアコンサルタント/GCFD-Japan(CCE, Inc)
ファイナンシャル・プランニング技能士2級/AFP(日本FP協)
2016年12月16日金曜日
#富はたしかに一部の富裕層に集中しているが
本日の日経に野村総研のレポートが紹介されています。株高などにより、富裕層の資産が膨らんでいるそうです。
純金融資産の保有高により5階級に分けていて、3000万円未満が「マス層目」(=最下層)です。
超富裕層と富裕層の世帯数の合計は121.7万世帯で保有する純金融資産の合計は272兆円。全世帯数の上位2.3%が、純金融資産の19.4%を保有しています。
さて、有名な「パレートの法則」は、「20対80の法則」とも呼ばれます(ボクはそんな呼び方はしませんが)。
上位20%の◯◯が、全体の△△の80%を占める、と説明されます。
本当でしょうか?
この野村総研のレポートによる階級分けでは、超富裕層からアッパーマス層(3000万円~5000万円未満)までの世帯数の合計が21.1%となります。つまり純金融資産保有額の上位21.1%の世帯です。この世帯の純金融資産の合計は799兆円です。
・
・
・
60.0%です。
微妙ですね。「80%」とは言い難いですね。
つまり、「20%のなになにが、なになにの80%を占める」というのは、ものの例えです。
そもそも、パレート自身が「20対80」と記した文献は見つかっていと言われています。
2016年12月9日金曜日
#強いチームを作るために必要なこと
なんとなーくですが、「チームビルディング」という言葉には、協調性というニュアンスが強いように感じるのです(いや、ボクの思い違いかもしれませんが)。
でも、「チームを作る」というベタな意味では考えると、協調性云々の前に、<役割分担の明確化>と、<それぞれの役割を果たせるスキルのある人材の登用>なんじゃないかなーと思うわけです。
ラグビー、サッカー、野球などチームスポーツって、そうですよね?
近代化されたチームスポーツはポジション(役割)が明確ですよね。これって実は外資系企業の組織に似てません? ポジションが先にあり、それに相応しい人材を採用・登用する。職種間の異動は稀。
さっきWebの辞書で「チーム」を調べたら以下のような説明がありました。<補完的スキルを備えた>というのがポイントのように思います。
引用===
チーム
Team
チーム(英: team)とは、共通の目的、達成すべき目標、そのためのアプローチを共有し、連帯責任を果たせる補完的なスキルを備えた少人数の集合体である。
===引用おわり
これを実現するには、<強み>の把握が欠かせません。そして、他の人とは異なる強みを持つ人々を、互いの弱みを補うように組み合わせる。それがチーム作りというものだと思うのです。
役割が不明確なまま同質な人材ばかり集めて「力を合わせよう!」とかけ声をかけても、強いチームは作れないのではないか。オフェンスばかりのチーム、4番打者ばかりのチームは、勝てるのでしょうか?
・
・
・
3年前の今日、こんなことを考えていたようです。
2016年12月6日火曜日
#パチンコのイメージを作っているのは何か?
先日、パチンコ・パチスロノンユーザー大学生4人を集めて、実際のパチンコホールで1時間の遊技体験をしてもらい、その後にグループインタビューをしました。肉声を聞くというのは、アンケートの自由回答とは違い、格段に興味深いですね。
パチンコに対して抱いていたイメージを尋ねると、まあ、これまで散々、各種の調査結果で語られてることと大差ありません。「イメージが良くない」「怖い」「お金をたくさん使いそう」「タバコくさい」等々。
しかし、自分でグルインをやると、「どうしてそういうイメージが形成されたのか?」を探索できます。たんに「イメージが良くない」では、どこが・どう感じるから「良くない」のかわかりませんよね。
そこがわからないまま、「イメージを良くしよう!」と思いつきの施策に取り組んでも、成果がほぼ出ない(まぐれ当たりすることもある)。ときには、主原因がわかっても、それがほぼコントロール不可能なことである場合もありますが...。
パチンコ業界の内側にいる方、長年ユーザーをやっている方からすると、「業界変わったよね。ホールスタッフの接客、すごく良くなったしお店もきれいだし」と思うわけです。これ、間違いなく努力の結果です。
しかし、ノンユーザーの見方はたぶん20年前、30年前と変わってない。なぜかというと、ノンユーザーのパチンコに対するイメージ形成に大きな影響を与えているのは「お店」ではないから。今回、そういう仮説を強く持ちました。「お店」の中の改善は、ノンユーザーには伝わらないのです。新規ファン拡大へのインパクトはわずかです。と、自分は思います。※トライアルしてくれた人の継続意向率を高める効果は大いにあったと思う。
今回のグルインで尋ねたところ、「お店」に対する事前のネガテイブイメージはせいぜい、「うるさい」「タバコの匂いが少しする」くらい。実際に店内を巡回してもらったところ、「うるさい」「タバコの臭いが少しした」「初心者向けの説明が見当たらない」という感想。
じゃあ、何によってネガテイブイメージが形成されているのか?
それは、「ユーザー」なんです。「お客さん」です。
「朝、開店前に並んでいる人たちって、電車の中で騒いだりしそうな人と同じ雰囲気で怖い」
「自分たちはふだん、遊びや飲み会が3000円を超えたら特別だと感じている。その友人が『何万円勝った、負けたと』いう話をしているのを聞くと、金銭感覚がマヒしてると思う」
「ドラマや小説の中で、ダメな人間が描写されているとき、その人はたいていパチンコをしている」
・
・
・
例えば、「パチンコ店が怖い」というのは、「中にいるお客さんが怖い」という意味で、ホールスタッフが怖いと言ってるんじゃないんです。接客を向上しても、 ノンユーザーの「パチンコ店が怖い」というイメージは変わらないんです。接客向上とは別の取り組みが必要なんです。
もしもこういった認識が多数派なのだとしたら(定量調査をすればわかる)、遊技業界がノンユーザーを増やすために取り組むべきことで、未着手なことは、「パチンコを楽しんでる人は、怖い人じゃないですよ」というイメージ発信のように思います。
パチンコに対して抱いていたイメージを尋ねると、まあ、これまで散々、各種の調査結果で語られてることと大差ありません。「イメージが良くない」「怖い」「お金をたくさん使いそう」「タバコくさい」等々。
しかし、自分でグルインをやると、「どうしてそういうイメージが形成されたのか?」を探索できます。たんに「イメージが良くない」では、どこが・どう感じるから「良くない」のかわかりませんよね。
そこがわからないまま、「イメージを良くしよう!」と思いつきの施策に取り組んでも、成果がほぼ出ない(まぐれ当たりすることもある)。ときには、主原因がわかっても、それがほぼコントロール不可能なことである場合もありますが...。
パチンコ業界の内側にいる方、長年ユーザーをやっている方からすると、「業界変わったよね。ホールスタッフの接客、すごく良くなったしお店もきれいだし」と思うわけです。これ、間違いなく努力の結果です。
しかし、ノンユーザーの見方はたぶん20年前、30年前と変わってない。なぜかというと、ノンユーザーのパチンコに対するイメージ形成に大きな影響を与えているのは「お店」ではないから。今回、そういう仮説を強く持ちました。「お店」の中の改善は、ノンユーザーには伝わらないのです。新規ファン拡大へのインパクトはわずかです。と、自分は思います。※トライアルしてくれた人の継続意向率を高める効果は大いにあったと思う。
今回のグルインで尋ねたところ、「お店」に対する事前のネガテイブイメージはせいぜい、「うるさい」「タバコの匂いが少しする」くらい。実際に店内を巡回してもらったところ、「うるさい」「タバコの臭いが少しした」「初心者向けの説明が見当たらない」という感想。
イメージを作るのはお客
じゃあ、何によってネガテイブイメージが形成されているのか?
それは、「ユーザー」なんです。「お客さん」です。
「朝、開店前に並んでいる人たちって、電車の中で騒いだりしそうな人と同じ雰囲気で怖い」
「自分たちはふだん、遊びや飲み会が3000円を超えたら特別だと感じている。その友人が『何万円勝った、負けたと』いう話をしているのを聞くと、金銭感覚がマヒしてると思う」
「ドラマや小説の中で、ダメな人間が描写されているとき、その人はたいていパチンコをしている」
・
・
・
例えば、「パチンコ店が怖い」というのは、「中にいるお客さんが怖い」という意味で、ホールスタッフが怖いと言ってるんじゃないんです。接客を向上しても、 ノンユーザーの「パチンコ店が怖い」というイメージは変わらないんです。接客向上とは別の取り組みが必要なんです。
もしもこういった認識が多数派なのだとしたら(定量調査をすればわかる)、遊技業界がノンユーザーを増やすために取り組むべきことで、未着手なことは、「パチンコを楽しんでる人は、怖い人じゃないですよ」というイメージ発信のように思います。
登録:
投稿 (Atom)