2015年12月8日火曜日

#能力開発は労働者の自己責任

職業能力開発促進法という法律があります。その一部が今年9月に改正されました。施行は来年(2016年)4月1日。
まず、この法律の基本理念が改正されました。

改正された理念はこうです。

第3条の3
労働者は、職業生活設計を行い、その職業生活設計に即して自発的な職業能力の開発 及び向上に努めるものとする。

「職業生活設計」という言葉も聞き慣れないかもしれませんが、これは平成13年の法改正で以下のように定義されました。

この法律において「職業生活設計」とは、労働者が、自らその長期にわたる職業生活における職業に関する目的を定めるとともに、その目的の実現を図るため、その適性、職業経験その他の実情に応じ、職業の選択、職業能力の開発及び向上のための取組その他の事項について自ら計画することをいう。

上記基本理念は、要するに、我々労働者に、「自分のキャリアプランは自分で考えて、それに必要な能力開発を自分でしなさい」と言っているのです。

ここに、「国に頼られても面倒見切れませんよ。会社に頼るという気持ちも捨てたほうがいいですよ」という言外のメッセージを感じるのは私だけでしょうか?

職業能力開発促進法はもちろん、企業にも従業員の能力開発に関する措置を要求しています。今年の改正で事業者の責任にいくつかの項目が盛り込まれました。そのひとつが以下です (第 10 条の3第1号)。

事業主が必要に応じ講ずる措置として、労働者が自ら職業能力の開発及び向上に関 する目標を定めることを容易にするために、業務の遂行に必要な技能等の事項に関し、 キャリアコンサルティングの機会の確保その他の援助を行うこと。

要するに、「労働者と、仕事のスキルを教える上司なり研修講師との間に、キャリアコンサルタント(キャリアアドバイザー、キャリアカウンセラー等)を入れるべきですよ。会社は社員のためにキャリアコンサルティングの機会を作りなさい」と言っているのです。
その目的は条文にあるように、「労働者が自ら職業能力の開発及び向上に関 する目標を定めることを容易にするために」です。


従来、企業が目的達成のために必要な従業員の能力の向上に責任を持ち、教育・研修を行ってきました。
上記の法律の文言の変化からも読み取れるように、今後の流れは、
  • 従業員自身が「自らの職業生活の設計の目標を立て、その達成に必要な能力開発に責任を持つ」
  • 企業は、従業員を「キャリアコンサルティングを受ける機会を提供する」という形で支援しなさい
と明確化されました。そのための法制化です。

「何をいまさら」と言う人もいるかもしれませんが、“先進的”とは言い難い国が、ここまで明確な方針を打ち出したということを、我々労働者はよくよく考える必要があると思います。


今年、この他にもいろいろと改正された部分がありますが、そもそもは、青少年の雇用の促進等に関する法律の改正の流れです。この中で、勤労青少年福祉法や職安法の一部も改正されていて、部分的には今年10月から施行されています。


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文=田中 剛 Amusement Japan前編集長
キャリアコンサルタント/FP技能士2級

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