「キャリア」という言葉から何を連想しますか?
IT系の方だったら、carrier(通信事業者、運搬人、運送業)を思い浮かべるかもしれませんが、多くの方はcareerを思い浮かべると思います。
いずれも語源を中世ラテン語まで遡れば、馬車「carriage」の轍(わだち)だと言われています。
「運ぶもの(馬車)」かcarrierになり、「道筋(経歴)」がcareerになったようです。面白いですね。
しかし現代の日本では、多くの方にとってcareerはちょっと違う意味で使われているように思います。キャリアウーマン(死語?)、キャリア組など。つまり、「出世コース」という意味合いが強く含まれているように感じます。
しかしおそらく、人事の分野の方であれば、キャリアという言葉を「出世コース」とか「他者に誇れる輝かしい経歴」と捉える方は少ないでしょう。
文部科学省は次のように説明しています。
<人が、生涯の中で様々な役割を果たす過程で、自らの役割の価値や自分と役割との関係を見いだしていく連なりや積み重ね>
「道のり」の意味に近いですね。
アメリカではどうか。
アメリカ・カウンセリング学会(ACA)会長、全米キャリア・ディベロプメント協会(NCDA)会長などを務めたLee J. Richmond女史は次のように説明しています。
<careerは、『生涯にわたる職業選択に関わる活動・態度のこと』を意味する。もちろん、ここで言う職業選択は、『ライフスタイルの計画、自由時間(余暇)、学習、家族の活動』も含めて考える>
とても重要なことですが、仕事以外のことも含んでいるのです。
日本のキャリアカウンセリング協会(CCA)もほぼこの通りの捉え方をしています。
こういった「キャリア」という言葉の定義が、キャリア開発や人事に関わる人にとっての共通認識だと思います。
「キャリア教育」という言葉が初めて公文書に登場してからまだ20年もたっていません。教育現場で使われている「キャリア教育」という言葉は、当初は「進路指導」という意味が多分に含まれていたでしょうが、現在では上記のような意味で用いられています。
しかし、それ以前に学校教育を終え社会に出ている現在の中高年層で、人事分野の動向に疎いかたは、「キャリア」という言葉を異なる意味で捉えているかもしれません。
共通認識を持たずに「我が社の社員のキャリア開発は〜」という会話をしたしたら、コミュニケーションは平行線となってしまいますね。
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